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がん患者を抱えたとき 支援の研究進む |
家族の一員に、がんの診断が下されたとき、患者はもちろんだが、その家族にもさまざまな困惑や混乱が生じる。家族は患者支援の重要な担い手であることは確かだが、家族にも 抑うつや不安傾向が見られることもあり、最近は患者、家族を含めた心のケアの重要性が指摘され始めている。
▽莫大(ばくだい)な負担家族の一人ががんになった場合、医療スタッフと並んで、家族が患者をケアすることが当然とみられてきた。 しかし、「家族の中でも特に患者を介護している人には、莫大な負担がかかっており、心のケアが忘れられている」と広島大病院精神神経科の佐伯俊成講師は指摘する。 「がん患者の闘病生活には、その家族の心理状態や夫婦関係、家族機能が重要な役割を果たしている。欧米では家族を含めてのケアの実証的研究が進んでおり、家族支援プログラムも開発されている」 日本ではボランティアやNPO(民間非営利団体)に頼っているのが現状で、医療として行うためには、そのような支援を必要とする家族がどのくらいいるか。その抽出の仕方や支援方法も問題になってくる。 ▽3割に支援必要 佐伯講師らが、オーストラリアのグループが提唱する家族機能評価法「FRI」などを用いて、広島大病院に通院する乳がん患者と家族計189人を対象に、心理的適応パターンを調べた結果、抑うつや不安傾向が強い家族が約三割見つかり、支援が必要と判断されたという。 FRIによる家族類型は、結束力を表す凝集性と、争いごとの多さを見る葛藤(かっとう)性で分類。凝集性が高く、葛藤性が低い「凝集型」が34%、凝集性と葛藤性がともに低い「中間型」が32%、凝集性が低く、葛藤性が高い「葛藤型」が34%とほぼ三等分され、家族内が険悪な雰囲気となる葛藤型で、不安と抑うつがともに強い傾向が見られた。
▽フリーズする家族家族の心理的危機が訪れやすいのは、患者の終末期といわれている。 がん終末期患者を含む家族及び遺族計217家族の心理状態を詳細に調査し、家族のタイプを分類したオーストラリアの研究では①家族全員が支え合って一致協力する「支持型」②最初は険悪な雰囲気となるが家族内で解決して行く「葛藤解決型」③「中間型」④家族内で“フリーズ”してしまう「沈黙型」⑤家族内がばらばらになってしまう「敵対型」-の5タイプを報告。中間、沈黙、敵対の3タイプを高リスク家族として位置付け、具体的な支援法を提唱している。 日本では年間、がんで約30万人が死んでいるが、旧厚生省のがん患者遺族に対する調査では、3割もの人が終末期における医師とのコミュニケーション不足を指摘している。 「これは非常に大きな問題。一部で高い所もあるが、がんの告知率が平均すると4割程度にとどまっていることも関係している」と佐伯講師。 「日本では、がん患者を含めた家族の実証的研究はまだ進んでいないが、今や医療スタッフは患者さんだけでなく、家族にまで視野を広げることが大事になっている」と話している。 |