日内変動に応じて治療
眼圧が十分下がり効果
正常眼圧緑内障

 眼圧の上昇によって視神経が死んでしまう緑内障は自覚症状がない人が多い。視野の欠落に自分で気が付いたときは、かなり進んでいる状態だ。このため、緑内障はいまだに糖尿病網膜症に続いて、失明原因の第2位になっている。
  大阪厚生年金病院の桑山泰明部長は「正常眼圧でも緑内障になる日本人は多く、治療には1人1人違った対応が必要。眼圧の日内変動までしっかり把握し、それに応じた眼圧コントロールをすることで進行を止められるようになってきた」と話す。
 ▽自覚症状なし
 40歳以上の日本人では、緑内障は17人に1人という高率で発生しており、うち6割は正常範囲とされる眼圧11-21mmHg(水銀柱)で起きていることが、最近の調査で分かってきた。
 眼圧が急激に上がる急性緑内障は目の痛みや頭痛などの症状があるのに対し、正常眼圧緑内障は痛みも自覚症状もない。
 「緑内障の原因は必ずしも眼圧だけではないが、正常眼圧緑内障でも、実際に眼圧を下げると病状が進行しないことが分かってきた。100%ではないが、十分眼圧を下げればほとんどの人が進行しない」と桑山部長。
 スウェーデンの研究では、正常眼圧緑内障患者らを調べた結果、低ければ低いほど、1mmHg下げるごとに視野障害進行のリスクが10%下がることが分かっている。

 ▽夜に最高眼圧
 眼圧は一言で言えば目の硬さ。ボールが空気で膨らんでいるように、眼球がへこまずに、ちゃんと見えるよう、中から圧力がかかっている。
 眼圧には個人差があり、高い人や低い人がいるが、一定ではなく日周リズムを持って変動していることも分かってきた。
 桑山部長は、家で自分で眼圧を測れる「ホームトノメーター」を使って治療前の約200人の日内変動を調べてみた。
 その結果、日内変動の幅は平均4―5mmHg。緑内障の人では3割が幅が大きかった。問題は最高眼圧が日中にある人が約3分の2に対し、夜間にある人が約3分の1もいたことだ。
 同部長は「正常眼圧でも悪化する人では、8割ぐらいの人は夜間に眼圧が高いことが多く、昼間の診療では分からない」と指摘する。
 正常眼圧緑内障の男性(57)の場合、17mmHgだったのを、薬で13―15mmHgに下げたが進行。日内変動を調べると昼間の高い部分は15mmHgだったが、夜間に25mmHgにもなることが判明。この部分を下げていれば進行しなかったかもしれないという。

 ▽早期発見が大事
 眼圧を下げるには、基本的に目の中で栄養分を運んでいる「房水」がつくり出される量を下げ、排出をよくすることが必要になる。
 「最近は、房水の排出をよくするプロスタグランジン関連薬など、眼圧を下げる多くの点眼薬が開発され、眼圧コントロールが可能になってきた」と桑山部長。
 薬には、日内変動する眼圧全体を一様に下げる働きがあるものや、1番高い部分だけを削る働きがあるものなどがあり、組み合わせて使用すると良い場合がある。
 「それぞれの患者さんに合わせた“オーダーメード治療”が必要で、その人の日内変動を把握して精度を上げ、点眼薬の効果を確かめながら、十分低い眼圧を目指すことになる」(同部長)
 最近は1泊入院して眼圧の日内変動を測る緑内障専門施設も増加中。
 桑山部長は「正常眼圧緑内障は気づかないうちに進み、元に戻らない。眼科医が診れば眼底検査で分かるので、検診による早期発見が大事」と話している。
 

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