精神疾患の最新研究を紹介
50人委が第3回フォーラム

 「進歩を続ける医療の情報を正確に伝えるとともに、専門の壁を越えた交流をと、第一線で活躍する研究者や臨床医が結成した「医療の新世紀を考える50人委員会」(代表幹事・田中良哉(たなか・よしや)産業医大教授)がこのほど、「精神・神経疾患治療の新世紀」をテーマに東京でフォーラムを開いた。
 今回は「生活習慣病」「骨と関節疾患」に続き3回目。医療関係者のほか、製薬会社社員や報道関係者ら約60人が、てんかん、睡眠障害、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病の5つの疾患についての最先端の報告に聞き入った。

 変わる睡眠薬のとらえ方

 睡眠障害では国立精神・神経センター精神保健研究所の内山真(うちやま・まこと)部長が海外での睡眠薬の開発状況について講演。
 眠りのメカニズムが分子レベルで解明されたことで睡眠薬も大きく変わり、かつてのような依存性のある精神安定剤的な働きはなく、薬効を純粋に眠りに特化させているという。また体の代謝を下げて寝つくまでの時間を短くする新しいメカニズムの薬も登場した 。
 睡眠薬には処方する医師も拒否反応を持つことが多いが、内山部長は「この数年で海外では睡眠薬のとらえ方が大きく変わった」と強調した。
 うつ病については広島大の山脇成人(やまわき・しげと)教授(精神神経医科学)がうつ病患者の脳機能についての画像解析結果を紹介。
 患者には脳で記憶の出し入れを担う海馬の委縮がみられ、脳の血流分布を映し出すfMRI(機能的磁気共鳴画像装置)で調べると、左前頭前野の機能が落ちていることが分かったという。

 ▽医療もグローバル化

 人間の脳では左前頭前野が快い感情、右前頭前野が不快な感情の予測をそれぞれつかさどっており、常に不快の念が優位になるうつ病患者の状態をよく説明する。
 山脇教授は「これからは機能が落ちた左前頭前野の機能をどう回復させるかが研究 の一つの焦点になる」と指摘した。
 このほか、てんかんでは手術の実際と新しい迷走神経刺激療法の可能性、統合失調 症では最近の治療薬や今後の研究の方向性、アルツハイマー病では日本で開発中の新薬候補が紹介された。
 講演後の討議では、精神疾患分野でも新薬の承認が遅れ、治療が世界水準に達し ていないことが多いと指摘された。
 山脇教授は「医療もグローバル化の時代。この状況を解消し、日本発の良質な研究結果を出さないと、いつまでも海外の治療基準を追うことになる」と訴えた。

 


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