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体内の様子をくっきり写し出すコンピューター断層撮影装置(CT)。国内の医療施設では普通の診断装置となったが、性能も年々向上し、最近では心臓の検査にも使われだした。昨年11月末から米シカゴで開かれた北米放射線学会でも多くの臨床報告が行われた。
▽普及に拍車
CTは1970年代末に登場した。しかし当時は、エックス線照射装置が体の周りをゆっくり一回転する間に断面を一枚撮影するだけで、検査に時間がかかった。
その後、撮影の高速化が進み、一回転の間に何枚も撮影するマルチスライスCTが登場。立体画像も表示できるようになった。それでも鼓動を繰り返し、止まることのない心臓の撮影は長く苦手な分野だった。
それが変わりだしたのが2002年の16列CTの登場。照射装置が0.5秒で一回転する間に16枚も撮影し、心臓でもかなり正確な画像が得られるようになった。
04年には各社がより高性能な64列CTを投入した。慶応大医学部放射線診断科の陣崎雅弘(じんざき・まさひろ)助手は「心臓CT検査の広がりに一層の拍車が掛かる」としている。
▽広がる適応
最大手のGE横河メディカルシステムのCTは、照射装置が一回転に要する時間は0.35秒。カメラで言うと高速シャッターが切れることになり、動きを止めやすい。
その間に0.625ミリ間隔で64枚の断面画像を撮影、すなわち4センチ分をカバーする。この結果、16列CTでは20秒程度かかっていた心臓全体の撮影が、5心拍分の5秒程度で終わる。
慶応大病院は一年ほど前にこの新鋭機を導入。陣崎助手はその臨床例を元に64四列CTの評価を学会で発表した。
「一番大きな効果は、格段にきれいな画像が安定して得られ、心拍が速い人も検査できること」と陣崎助手。16列CTでみられた画像のぶれによる評価不能例はほとんどなくなったという。
利点はまだある。広範囲を撮影できるため、心臓と血管系の同時評価が必要なバイパス手術で有用性が高まった。撮影時に使う造影剤の量が半分になることも大きい。血管内治療を翌日に控えた患者も検査可能になる。
▽患者にも優しく

こうした利点は撮影時間の短縮がもたらした。検査に必要な息止め時間が短くなることで、患者も楽になる。
昭和大藤が丘病院中央放射線部の高橋良昌(たかはし・よしまさ)主任技師は「かつては検査前に息止めの練習を何回もしたが、それでも無理な人がいた。今はそういう人はいない」と話す。
現在、心臓検査の切り札は「血管造影」。動脈からカテーテルを入れ、冠動脈に造影剤を流してエックス線撮影する。造影剤注入が静脈注射でいいCTに比べ、患者の負担は大きい。
一方でCTの欠点は被ばくの多さ。高橋技師らが人体模型を使い、双方の被ばく量を比べた結果、血管造影の方が一けた少なかった。
ただ高橋技師は「CTに組み込まれた低減装置を使うと被ばく量はかなり減る。血管造影は装置の古さや検査法で施設間に7倍程度の差があり、双方に差がないこともありうる」とした。
CTは石灰化が強い血管の評価は難しいが、一方で血管壁のプラークの硬軟などの性状が分かる利点もある。
陣崎助手は「CTの情報量は多い。血管造影に比べ細い血管の評価は劣ることがあるが、臨床現場で使うには十分な性能。患者のスクリーニングには特に効果的だ」と話している。
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