国連が糖尿病撲滅を決議
世界で10秒に1人死亡

 先進国だけでなく発展途上国でも深刻化している糖尿病の撲滅を目指す決議を、国連総会が昨年12月20日採択した。 決議を求めるキャンペーンを進めた世界糖尿病連盟(IDF)のマーチン・シリンク会長は「感染症と同様に深刻な脅威であることを各国政府が認識した」と表明。糖尿病が関係する病気により、世界では約10秒に1人の割合で死亡している現状の打開につながれば、と期待している。

 

すべての人が治療を
 決議は、毎年11月14日を国連の世界糖尿病デーと定め、各国政府に糖尿病の予防や治療などに当たるよう求めた。
 IDFはベルギーに本部を置き、日本を含む150以上の国・地域の学会や団体で構成する。IDF西太平洋地域理事を務める田嶼尚子慈恵医大教授(糖尿病学)によると、キャンペーンのきっかけは、米国の糖尿病患者クレア・ローゼンフェルドさんだった。
 17歳だった2004年夏にバングラデシュなどを旅して、糖尿病に苦しむ人々の現状を日記にして出版。05年2月に田嶼教授も出席したIDFの会合に招かれたクレアさんは「すべての人が治療を受けられるように」と訴え、IDFが各国に決議を働き掛けることになった。
 しかし「世界保健機関(WHO)がやるべきことだ」「病気に関して国連決議がなされたのはエイズとマラリアぐらい。できるわけがない」との意見も多かった。欧米各国は、経済支援を求められることを警戒した。
 風向きが変わったのは、06年12月初めにケープタウンで開いたIDF総会。約130の途上国でつくる「77カ国グループ(G77)」が支援を表明し、07年11月を目指していた決議が一気に実現したという。

日本のノウハウを途上国に
 

糖尿病はぜいたく病という誤解もあるが、患者が最も多いのは中国で、次いでインド。食事の欧米化で患者が増える一方、貧困のためインスリン注射などの治療が受けられない人も多く「年間300万人以上が、心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など糖尿病に関連した病気で死亡しています」(田嶼教授)。
 日本では、糖尿病が強く疑われる人は740万人、可能性が否定できない“予備軍”は880万人と推計されている。だが血糖値を管理すれば普通に生活できるためか、病気を軽視しがち。
 田嶼教授は「キャンペーンの次の段階は行動。既にある国内対策を進めるとともに、日本のノウハウを途上国に提供するなどの国際協力が必要です」と話している。


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