がん診断の機器開発進む
発見の精度アップへ
北米放射線学会で

 がんの検査や診断方法の改良や開発に向けた取り組みが、世界で進みつつある。先行する米国のシカゴで11月から12月にかけて開かれた北米放射線学会で、日本から参加した専門医らに最近の状況を聞いた。
 肺がんの検診では、1枚のフィルムに胸全体を写す通常のエックス線撮影に比べ、体を細かく“輪切り”にして断面ごとに見ることができるエックス線CTスキャナーは、小さなものを含め、肺がん発見の確率が高い。だが、その分、被ばく量が多いのが課題だ。
 ▽解像度アップ
今回、同学会で発表した昭和大藤が丘病院(横浜市)の杉本英治前教授(現自治医大教授)とGE横河メディカルシステムの沈雲・首席サイエンティストらは、データを処理するソフトの工夫で、従来の10分の1以下の被ばく量にする方法を開発した。
 CT撮影自体は、被ばく量を少なくしただけで、従来と大きな違いはないが、得られた画像から、邪魔なノイズなどを除き、少ない画像で解像能力を上げられるよう、データの再構成の方法を工夫した。
 この方法で28人の患者の計90の病変部を読み取ることができるかどうかを調べた結果、3年目の若手医師からベテラン医師まで、すべて同じように読み取ることができた。
 沈さんは「被ばく量はエックス線撮影の約3倍に収まり、非常に有効な方法だ」と話す。研究チームの藤田晃史助手は「画像を判読する診断支援システムなども検討し、今後検診への応用を目指したい」という。



 ▽前立腺がん診断
 日本でも増えている前立腺がんは、PSAという血中成分による迅速診断が定着した。だがPSAは前立腺肥大症でも上昇し、前立腺のどの部分にがんがあるのかを特定できないため、先端医療センター(神戸市)では新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究事業として神戸大の杉村和朗教授らは、磁気共鳴画像装置(MRI)による検査法の改善を進めた。
 MRIを使うと正確な場所のほかに、前立腺がんに特徴的な体内物質の変化を把握でき、悪性度も判断できる。だが、この検査は、直腸からコイルを入れた状態で40分から1時間かかるため、患者にとってつらい。
 そこで磁場の強さが2倍のMRIを使い、コイルを体の外から巻く方法を開発。前立腺の中を通る尿道の筋肉の層や、尿道に液体が入ってくる経路など鮮明な画像が得られるようになった。
 研究グループの楫(かじ)靖講師は「実際に診断に使える可能性が高い」と話す。この方法が実用化すれば、PSA検査後に、MRIで精密検査し、最終的に細胞を採取してがん細胞の有無を調べるバイオプシーを行うという順序で、検査を進めることができる。

 ▽PET/CT装置
 同学会で高い評価を受けたのは、がんの有無を検出する陽電子放射断層撮影装置(PET)と、場所を特定するCTを組み合わせたPET/CT装置。米ジョンズホプキンズ大の巽光朗研究員は「この3年で米国では一気に広まった。将来がん診断の中心になるのは間違いない」と話す。
 GEメディカルシステムなどが機器を開発、世界で使われるようになり、日本でも12月にようやく厚生労働省から承認された。
 巽研究員は「腹部や骨盤部などPET単独では比較的苦手だった場所にも正確に病巣を検出でき、多くの情報を得るために、米国では早い段階から使う傾向にある」という。ただ普及には検査料、保険点数などの経済的側面、専門医や技師などの人的側面も影響する、と指摘している。
 

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