たばこの煙の基準見直しを
受動喫煙、労働者に危険

 喫煙スペースで守られるべきたばこの煙の上限濃度として厚生労働省が定めた基準値は、世界保健機関(WHO)の空気環境指針の6倍、米国の2倍以上とする調査結果を、東京大医学部の中田ゆり客員研究員(国際地域保健学)らが日本アレルギー学会で発表した。

▽WHO基準値の6倍
 中田さんは「たばこを吸わない人が、煙が充満した店や列車の喫煙車で働くケースは多く、早急に見直す必要がある」と指摘している。

 たばこの煙は、粒子状やガス状のさまざまな有害化学物質を含む。
 厚労省は分煙効果の判定基準(2002年)や受動喫煙防止対策(03年)で、喫煙スペースのたばこの煙に関して「デジタル粉じん計を用いて時間平均の浮遊粉じん濃度が1立方メートル当たり0.15ミリグラム以下」と規定、国の基準として使われている。
 中田さんも受動喫煙の被害を調べる研究で基準値を使ってきたが、この濃度だと、かなり煙たく劣悪な環境と感じていた。さらに、米国で06年夏に開かれた、たばこと健康問題の世界会議に出席した際、海外の研究者から「日本の基準値は高過ぎる」との指摘を受けたのをきっかけに、本格的に調べた。
 喫煙スペースに限定したものではないが、米国の空気環境基準は1立方メートル当たり0.065ミリグラム以下で、日本はその約2.3倍。欧州などが用いるWHOの空気環境指針は0.025五ミリグラム以下で、日本は6倍だった。

▽厚労省に見直し要望
 
中田さんは「海外の基準、指針は喫煙スペースを含めた全体の環境に適用される。日本の基準は、もともと受動喫煙防止のために作られたものではなく、30年以上前に厚生省(当時)が作った大気汚染基準を参考に作られている。時代遅れ」と話す。
 さらに「飲食店やカラオケ、タクシー、列車など、吸いたくないのに受動喫煙にさらされる職場で働いている人は多く、このままでは危険」と、厚労省などに見直しを要望する考えだ。
 厚労省の山本英紀たばこ対策専門官は「健康上問題があるようなら、WHOと米国の基準がたばこの煙に関して実際に用いられているのかや、具体的にどのような場所や条件で適用されるのかなどを調べたい」としている。


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