心筋梗塞を15分で診断
診断キットが普及

 急性心筋梗塞(こうそく)などの際、血液中で上昇する特定の成分(マーカー)を測定する迅速診断キットが普及し、15分で診断できるようになってきた。マーカーの測定により、従来は分からなかった微小な心筋の傷害も把握できるようになり、早い診断、治療につながっている。
 心臓の冠動脈が完全に詰まってしまう心筋梗塞や、冠動脈の内側にたまったコレステロールが「プラーク」となって血管が狭くなる不安定狭心症、さらに、このプラークが破裂して血管が急激に詰まる状態などは「急性冠症候群」と呼ばれる。
▽トロポニンを測定
 「こうしたことが起きた場合に、血液中で増加する物質を調べると、トロポニンという心筋の収縮を担うタンパク質が出ていることが分かった。心筋細胞が傷害されていることを示している」と日本医大の清野精彦助教授は指摘する。
 急性冠症候群は、トロポニンの測定で診断が可能と分かり、米国と欧州の心臓病学会は、2000年に心筋梗塞の定義を改訂し、血中にトロポニンが増えた場合は心筋梗塞とした。
 トロポニン以外にも、細胞膜が傷害されるという比較的初期の段階で血液中に出てくる「H-FABP」というタンパク質も、急性冠症候群で上昇することが分かった。
 清野助教授らは、この2物質を微量の血液から検出し、急性冠症候群かどうかを判定する迅速診断キットを開発した。
 「トロポニンとH-FABPは発症後、出現する時間が違う。それぞれの特徴を生かして使い分けることが必要だ」と同助教授。
▽専門外の医師でも診断が
 北海道の市立室蘭病院は、救急室の当直を各科の医師が順番に担当しているが、循環器病の専門医は全体の1割だけ。専門外の医師らが急性心筋梗塞を診断するのに02年11月から診断キットを採用、半年間で、疑いのある142人の患者に使い、陽性の場合は専門医に連絡するなどの対応をしている。
 東海林哲郎・循環器科部長は「心筋梗塞かどうか早く分かる。救急室で役立っている」と話す。
 マーカーの検査により、不安定狭心症患者の30%は微小な心筋梗塞が起きており、日本医大の重症患者の中では、70%に上っていたことも分かった。
 清野助教授は「不安定狭心症の患者が増加しており、注意が必要だ。致死的な病気を迅速診断法により判断して効果的な初期治療に結び付けるのが最も重要だ」と強調している。
 

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