心筋梗塞のリスクを予知
高感度CRP検査
超早期の治療が可能に
  体のどこかに炎症や組織の崩壊が起こると、血液中に「C反応性タンパク」(CRP)という物質が大量に現れる。体の変調が事前につかめるため、健康診断の血液分析にも「CRP」という項目が入っている。  最近は、測定レベルが大幅にアップした「高感度CRP測定装置」が開発され、心筋梗塞(こうそく)を超早期に予知できるようになった。これまでの医学常識からすると予想外のことで、大きな注目を集めている。
▽急性炎症で1000倍にも
  CRPは肝臓で生産される。体のどこかに急性炎症が起こると24時間以内に急増し、通常の1000倍もの濃度になり、体の異常の早期発見に役立っている。  関西医大の高橋伯夫教授(臨床検査医学)は「CRPは、細菌などの異物が起こした炎症部分に集まって目印となり、白血球などの免疫細胞が攻撃して体を守る際の助けとなっているらしい」と指摘する。
 特定の病気を見つけることはできないが、感染症や自己免疫病、がんができた場合など、多くの病気でCRP値が上昇するため、早期発見のほか、病気の重症度や経過を判断するのにもよい目安になっている。  健診結果の説明を見ると、CRPは「基準値(正常値)は陰性、または1dl当たり0・3mg以下」となっていた。  
▽隠れた慢性炎症
 「炎症で1000倍も急増するので、逆に低いレベルでは何が起こっているのか、覆い隠されて、これまで分からなかった」と高橋教授。  「高感度CRP測定装置では同0・01mgまで正確に測れるようになり、これまで健康とされてきた人でも、異常が潜んでいることが分かってきた」
 動脈硬化を持っている人はCRPが普通の人に比べて結構、高いのだ。  「つまり、最近は動脈硬化が慢性の炎症だということが分かってきた。血管のごく一部の炎症のため、従来の検査では全く引っ掛からなかった」(同教授)  高感度CRPのデータが集まり始めた結果、健康な人の基準値は、同0・04mg以下ということが分かってきたという。  高橋教授は「最近のデータで同0・3mgを超える人は、明らかに将来、心筋梗塞などを起こしやすく、生命予後(将来の健康状態)が悪いことが明らかになってきた」と話す。
▽画期的な方法に
  イタリアのデータでは、心筋梗塞を患い、退院した人を対象に高感度CRP検査で追跡したところ、同0・3mgを境に、CRP値が低い人は冠動脈の再狭窄(きょうさく)の再発率も低く、値が高い人は8倍も再発率が高いことが明らかになった。  また高感度CRPでは、糖尿病や肥満、喫煙、加齢でもCRPが上昇することが次第に分かってきた。  CRP値だけでもよい情報になるが、さらにコレステロール値などのデータを合わせると、より明確なリスクが分かる。
 高感度CRPが注目され始めたのは、高い値を持っている人が分かれば、治療できる方法があるからだ。  高橋教授は「アスピリンやスタチン系の薬など、CRPを下げるいい薬が結構ある。検査値をガイドにしながら治療を続ければ、そのままだったら起こるはずの心筋梗塞を未然に防げる画期的な方法になるだろう」と話している。  高感度CRP検査の普及はこれからだが、既に通常の健診に取り入れている日赤医療センター(東京)では「現在、実際のデータが集まりつつある。これまではできなかったが、今後は健診で心筋梗塞を予知できるようになると思う」(健康管理センターの折津政江部長)という。

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