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2017.09.05

重い精神疾患で余命短く
多い心血管疾患

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 重い精神疾患で長期に入院した経験がある人の平均余命は、一般人口に比べ22年短いとの研究を、東京大病院精神神経科の近藤伸介助教らがまとめた。寿命に与える影響を数字で示したのは国内初という。

 主な死亡原因には自殺のほか心血管疾患も含まれており、患者の心だけでなく、体へのケアの重要性が浮かんだ。

 近藤さんらは、東京都内で病院から地域生活への移行を支援する社会福祉法人「巣立ち会」を最近24年間に利用した人のうち、亡くなった45人について分析。死亡時の平均年齢は63歳、入院期間は平均16年、87%が統合失調症を抱えていた。

 45人は、同様の年齢構成の一般人口と比べ平均22・2年、早く死亡していた。欧州でも15~20年早く死亡する傾向があるとの報告がある。

 死因別に見ると、自殺が一般人口の7・4倍だったほか、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患が5・1倍と高かった。60%の人は、精神科以外に、糖尿病や高血圧といった心血管疾患につながる不調で通院していた。

 体の不調の原因は不明だが、薬の影響や、体を動かす意欲の低下などが考えられるほか、経済的な事情もうかがえる。87%が生活保護や障害年金を受け、独居も多いため、健康面で支えてくれる人がおらず食生活が乱れ、不調を招いた可能性があるという。

 近藤さんは、精神科と他科の連携不足にも目を向ける。「精神疾患の重症患者は遠隔地の精神科病院に送る対応が常態化しており、適切な時期に内科など体の治療が受けにくい」と指摘。「患者と一般人口との健康格差は自己責任ではなく社会的な問題だ」と強調した。