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医療新世紀
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2017.07.18

◎普段の乳房の状態に関心を
万能な検診法なく
30代以下の乳がん

 乳がんで闘病していたフリーアナウンサー小林麻央さん(34)が6月に亡くなり、30代など比較的若い世代の乳がんに改めて関心が向いている。

 早期発見されれば治りやすく、若い人には少ない乳がんだが、基本的な知識は押さえておきたい。日本乳癌学会は昨年、患者向け診療ガイドラインを改訂し公表した。その委員長を務めた四国がんセンターがん診断・治療開発部の大住省三部長の話を中心にまとめた。

 ▽若年層は少ない
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 がんは年々増えており、国立がん研究センターの推計によると昨年は約9万人の女性が新たに診断され、約1万4千人が死亡したとみられる。

 多く見つかるのは40代後半から60代にかけて。30代から増え始めるが、若年層の患者は少なく、2012年のデータでは、新規患者に占める30代以下の割合は5・8%だ。

 乳がんの5年生存率は、しこりが2センチ以下、転移なしの早期に見つかれば99%。だが進行に伴い徐々に低下し、他の臓器に転移した場合だと生存率は30%台になる。


 国は、乳がん死を減らすために40歳以上の女性を対象に2年に1回のマンモグラフィー検診を推奨している。マンモはしこりになる前の「石灰化」という段階でがんを検出するのが得意で、40歳以上では検診によるがん死亡率の低減効果が確認されている。だが、乳腺組織もがんも白く写るため、30代以下をはじめ乳腺組織が濃い人ではがんを見つけにくいなどの弱点がある。

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 ▽気づきやすく

 弱点克服のため、マンモに超音波検査を併用する方法の効果を調べる大規模研究が40代を対象に行われた。がんの発見率は上がったが、がんではない変化を「がんの疑い」として拾いやすいことや、現段階では超音波の乳がん検診を担える人材が大幅に不足しているなどの課題が明らかになり、集団を対象とした検診での採用は時期尚早とされた。「30代以下については、全員に勧められる乳がんの画像検診法は確立されていないのが実情」と大住さんは話す。

 では、自分の乳房を鏡に映して見たり手で触ったりして、普段の状態を把握しておくセルフチェックの有効性はどうか。

 「死亡率を下げる明確な効果は確認されていないが、普段の乳房の状態を知っていれば、異常にも気付きやすいと考えられる」(大住さん)として、セルフチェックの意義を認める医師は多い。

 継続して見ていると、排卵から月経終了までの時期は乳房が張った感じになるなど、自然な変化があることも分かる。

 普段の変化と違う自覚症状があれば受診を。乳がんに詳しいのは乳腺科、乳腺外科などの医師だ。「いざという時すぐ相談できる医師がいる状態にしておくことはとても有効」と大住さんは指摘する。

 ▽リスク高い人も

 数が少ない30代以下の乳がんだが、遺伝的にリスクが高い人は若年で発症する場合もある。最もよく知られているのがBRCA1/2と呼ばれるがん抑制遺伝子の変異を親から受け継ぐケースだ。

 血縁者に、50歳以下で乳がんになった人、卵巣がんの経験者、男性の乳がん経験者がいる乳がん患者は、遺伝性の可能性を考慮すべきだとされる。

 BRCA1/2については遺伝子検査が可能で、発症前に分かった場合は、早くから検診を始めるなど対策に生かすことができるが、検査結果は血縁者にも関わるため、大住さんは「遺伝カウンセリングの態勢が整った施設への相談を」と助言している。

 日本乳癌学会の患者向けガイドラインは学会ホームページ で公開されている。


(共同通信 吉本明美)