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医療新世紀
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2017.01.17

梅毒感染、さらに拡大
原因解明へ研究班設置
無自覚でもうつす恐れ

 梅毒感染者の増加が止まらない。特に若い女性で目立ち、異性間の性交渉によって広がっていることが分かってきた。厚生労働省は人気アニメのキャラクターを使ったキャンペーンを展開するなど啓発に力を入れるが、具体的にどういった人たちがハイリスクなのかは実はよく分かっていない。いったい誰に注意を促したらいいのか。同省は専門家の研究班を設置して実態把握を急ぐとともに、心当たりがあればすぐに検査を受けるよう呼び掛けている。

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▽6年前の7倍
 2016年の12月上旬(第49週)までに、全国の医療機関からの梅毒患者届け出数は4259人。15年同時期の2412人より1800人以上増え、10年の同574人の7倍に達した。ごくまれだった母子感染もじわりと増えている。

 若年層の性行動の変化、風俗業の業態の変化、まん延国からの観光客の増加などが原因として指摘されるものの、どれも十分な根拠はない。感染症法に基づく届け出では性別と年齢のほか、性的接触の内容を「性交・経口」「同性間・異性間・不明」などに区別して尋ねるが、国籍や職業などは問わないからだ。

 東京都新宿区では15年の届け出が都内の4割、全国の2割を占めた。受診医療機関による届け出であるため、区外居住者が受診したケースも多い。16年に実施したアンケートでは多くの医師が「患者は増えている」と回答している。

▽消える症状
 新宿区保健所では、病気の特徴や注意点をまとめたパンフレットを作製して啓発に力を入れる。また、17年度からは、発生状況などを明らかにするために自治体が必要な調査ができるとする感染症法の条文に基づき患者の匿名性を保ったまま「性風俗への従事歴」や「国籍」などを医師に追加で患者に質問してもらい、対策に生かす方針だ。

 性感染症に詳しい産婦人科医で、日本家族計画協会の北村邦夫理事長によると、病原菌の梅毒トレポネーマは、性器以外の粘膜の接触でもうつってしまう。オーラルセックスでうつり、口の粘膜がはれたり、ただれたりすることも多い。

 症状の経過からも、感染が見逃されがちだ。

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 感染の3週間後ぐらいに現れる1期の症状は軽く、自覚がない場合もある。症状はここでいったん消える。3カ月ぐらいで再燃すると2期。手足や体幹にバラ疹と呼ばれる赤い発疹が出て、その後また症状が消える。放置すると3年ほどで起こる3期では全身に炎症が進展。4期では脳や心臓が侵される恐れがある。

▽誰にでもリスク
 感染拡大の最大の要因は、自覚症状を感じていない期間でも他人にうつしてしまうことだ。一度完治しても、再び感染することもある。

 北村氏は「コンドームは予防に有効だが、それだけでは不十分。感染していない特定のパートナーと付き合う以外、誰にでもリスクがある。医師は、疑わしい患者には積極的に検査を勧めるべきだ」と指摘している。

 厚労省が原因探索のため設けた研究班で班長を務める国立感染症研究所の大西真・細菌第1部長によると、届け出の多い東京都の医療機関に協力を求め、検査を受けた人を陽性、陰性の2グループに分けて比較する予定。

 患者のより詳しい属性を明らかにした上で、特に異性間交渉でどのように感染が広がったかを17年度末までに明らかにする。菌が採取できれば、地域や感染経路を解明する特徴の有無も確かめる。

 大西部長は「リスクグループを明らかにし、病気の予防や治療についての知識を伝えて感染拡大を抑え込みたい」と話している。
(共同通信 由藤庸二郎)