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医療新世紀
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2016.11.29

動かして知る関節の状態
リウマチ体操の勧め
患者自身が病状把握を

 関節が炎症で腫れてこわばり、悪化すると変形したままになる関節リウマチは、薬による治療が進歩して症状の改善が見込めるようになった。専門医は、薬をきちんと飲むほかに、意識して手足を動かして関節の動きと状態の変化を確かめる「リウマチ体操」を勧めている。筋力がつき、動かせる範囲を維持できるほか、患者自身が病状を把握することで治療の方針や目標を決めるときに役立つという。

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▽新薬の効果
 関節リウマチでは、免疫の異常で関節の「滑膜」という部位に炎症が起きて軟骨や骨が壊れていく。破壊自体を止める薬がなかった頃は、痛みを止めることが治療の目標だったが、1990年代に新薬「メトトレキサート(MTX)」が日本でも使われるようになり、状況が一変した。

 日本リウマチ学会などのまとめによると、MTXはその高い効果から関節リウマチの中心的な薬と位置付けられ、急速に普及。2011年には、成人で薬の増量も認められた結果、患者の約7割で痛みや腫れが軽くなる効果が表れた。早ければ2週間で症状が良くなってくるという。

 MTXに加えて、炎症物質に働く「生物学的製剤」も登場。次々と新しい薬の組み合わせが試みられ、治療の選択肢が増えた。

▽改善を実感
 名古屋大医学部整形外科・リウマチ科の小嶋俊久講師(リウマチ学)は「より適切な薬の使い方が分かってくるにつれて、患者も医師も症状が良くなることが実感でき、患者の自己管理の意識も高まった」と話す。

 小嶋さんは患者に、関節を週に2、3回意識的に動かすことを勧める。そのやり方から「リウマチ体操」と名付けているが、日常的なリハビリテーションの一環で、病状チェックも兼ねている。

 症状は患者ごとに違うため、事前に主治医や理学療法士に適切なやり方を聞いておくといい。椅子に座ってリラックスし、関節を順番に動かしていくのが基本。痛くない範囲でゆっくり動かし、どこまで動くか、前回と違うかを丁寧に確かめていく。

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 指や手首、肘の曲げ伸ばしはもちろん、肩は関節や筋肉が複雑なので、腕を前から、そして横からも上げてみる。肩を前後にゆっくり回してみる。実際の動きは、物をつかんだり、箸やペンを使ったり、髪を洗ったりといった日常動作をイメージするといい。座ったまま、足首を曲げ伸ばししたり、つま先を上に向けて3秒ほど脚を上げたりする下半身の運動も忘れずに。

▽会話の手掛かり
 ごく早期の関節リウマチは服薬で治る例も増えた。だが、症状がある程度進んでからだと、薬で症状が治まっても患部の関節周りが硬くなる。ストレッチ効果のあるこうした体操は滑らかな動きを取り戻すのに有効だという。

 一方、小嶋さんは「関節の破壊が進んでしまった場合にも、体操は大切です」と強調する。

 関節リウマチでは、短期間で関節の破壊が進むケースがある。薬が効かないこともある。深刻な破壊が進めば、傷んだ滑膜を取り除いたり、人工関節を入れたりする手術がいずれは必要となってくる。

 そんなとき、体操で普段から関節の動きをチェックしていると、主治医との"会話の手掛かり"となる。病状の変化や、暮らしの中での不都合、困難さについて主治医と話をしていれば、どのような状態になったら手術に踏み切るかの共通認識もできてくる。結果として、タイミングを逃さず、患者も納得して手術を受けられるのだという。
(共同通信 由藤庸二郎)