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医療新世紀
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2016.11.15

夢追うため、自己管理を
1型糖尿病レーサー来日
本人の判断が重要

 血糖値を下げるインスリンが分泌されなくなる1型糖尿病は、生活パターンや体調、食事や運動の予定などに応じて注射するインスリン量を自分で調整しなければならない。世界で活躍している1型糖尿病患者だけの自転車レースチームが10月に来日し、選手らは病気を理由に夢を諦める必要はないと話す一方、夢の実現には徹底した自己管理が必要だと強調した。

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▽手本見せたい
 「チームノボノルディスク」は、製薬大手ノボノルディスクが支援するスポーツチーム。トップチームの自転車レーサーは全員が1型糖尿病だ。マラソン、トライアスロンなどを含めて100人以上の糖尿病患者が登録、活動している。

 チームの最高経営責任者(CEO)、フィル・サザーランドさん(34)は、自身が生後7カ月で1型糖尿病と診断されたが、12歳で自転車を始め、2007年には25歳で北米横断約4800キロのレースで優勝した。

 サザーランドさんは「運動は100万ドルの薬に匹敵する」と確信し、現チームの前身となる1型糖尿病患者のチームを設立した。「私たちができるのは、素晴らしい成績を挙げて、自己管理の手本を見せること。スポーツの分野に限らず、私が発病した頃にはそういう人があまりいなかったですから」と話す。

▽プロにトライ
 チームの中心選手でスペイン出身のハビエル・メヒヤス選手(33)は、15歳で1型糖尿病と診断された。「医師は『運動はできるが、プロレベルでは無理だ』と言った」。CEOによると、選手の多くが同じことを言われた経験があるという。

 メヒヤス選手は「医師もリスクを負いたくないのだろう。私も怖かった。だが、プロでやれるかトライしてみたかった」と振り返る。10月に宇都宮市で開かれたジャパンカップサイクルロードレースには3年連続出場で、今年は自己最高の8位に入賞した。

 オランダ出身のマルテイン・フェルスホール選手(31)は、医師の助言はあっても、自己管理が本人次第で、本人の判断が何より重要だと強調した。「気温や天候、睡眠、食事、体調...。選手はそれらを勘案し、1人でインスリン投与量を決めている」と話す。

 選手たちは今回の来日でも時差ぼけによるむくみが出るなどレース前日まで影響が残った。医師の指導する調整プログラムはあるが、最後はプロとしての自己責任。他チームの選手がマッサージを受けている発走直前まで、インスリンを打ったり、補給食を口にしたりして微調整する。

▽属性の一つ
 同チームをまさに手本にしているのが、レースの応援に来た神奈川県逗子市の中学1年生、大原慎人さん(12)。地元サイクリングチームで週4回の練習を積み、チームノボノルディスクでプロ入りすることが目標だ。

 大原さんは10歳で発病したとき「何で僕だけ」と感じたという。インスリン治療になって低血糖を招いたこともあったが「今では"やりたいことをやるための生活の一部"とポジティブに考え、血糖値をちゃんと管理できる」と胸を張った。

 東京女子医大糖尿病センターの内潟安子センター長は、多くの1型糖尿病患者が各界で成功していることを挙げ、「成功しようと思うならきちんと努力が必要。それは1型の患者であろうがなかろうが少しも変わらない」と指摘。さらに、「自分に与えられた才能は、存分に磨くべきだ。病気も自分の属性の一つとして、受け入れてほしい。医師はインスリン治療のABCをまず指導するが、患者本人はそれを応用して、自分に合ったやり方を見つけていってもらいたい」と話した。
(共同通信 由藤庸二郎)