47NEWS >  共同ニュース >  医療・健康  >  医療新世紀 >  病棟で遊びのボランティア子どもたちに笑顔の時間を全国ネットも始動
医療新世紀
今週のニュース
2014.12.09

病棟で遊びのボランティア
子どもたちに笑顔の時間を
全国ネットも始動


入院中の子どもは家族や友達と離れ、つらい治療に向き合わなければならない。付き添う親も、不安や疲労を募らせていく。そんな子どもたちの遊び相手となり、楽しい時間を提供するボランティアが、全国の小児病棟で増えている。
子どもたちに笑顔を、親にはつかの間の休息をもたらす活動だ。各地のボランティアが交流する「全国小児病棟遊びのボランティアネットワーク 」も昨年発足し、人材育成や社会への情報発信などを目標に動き始めた。
20141209honki.jpg
 ▽親も気分転換
 「こんにちはー」。週末の静かな病棟に明るい声が響く。11月下旬、東京・新宿の国立国際医療研究センター病院 。NPO法人「病気の子ども支援ネット 遊びのボランティア (通称ガラガラドン)」の男女メンバー14人が、入院中の子どもたちを訪ねてきた。
 1~6歳の男の子4人の病室で、クリスマス用飾りの工作が始まる。作業に熱中していた男児(6)は「上手だね」とメンバーから口々にほめられ、ちょっと得意顔だ。ぜんそくで何度か入退院を繰り返しているため、院内での遊びは経験済み。今回も「いつ来るかな」と心待ちにしていたという。母親(32)は「本人だけでなく私も気分転換できました」と感謝の言葉を口にする。
 小児がんで長期入院している子どもたちの個室では、点滴用の管を付けた手でおもちゃ遊びをする子や、メンバーとのすごろくゲームにはしゃぐ子も。
20141209honki1.jpg
笑顔が広がり、予定の1時間半はあっという間に過ぎていった。
 ▽医療の高度化
 「遊びは子どもの健全な発達に欠かせません。しかし、病院という閉鎖的な環境では十分に遊ぶことが難しい」とガラガラドン理事長の坂上和子さん(60)は語る。
 ガラガラドンの設立は1991年。もともと新宿区民の子どもを対象に病院を回る訪問保育士だった坂上さんが、保育士仲間5人とともに立ち上げた。以来20年以上、毎週土曜日に同病院への訪問を続けている。この間、2006年にはガラガラドンをNPO法人化。現在の登録ボランティアは約70人に上る。メンバーには教師や保育士、学生に加え、子どもを亡くした親も含まれる。
 医療の高度化で医師や看護師の負担は増えるばかり。時間をかけて子どもたちと向き合う余裕はない。一方で子どもたちは、苦しい検査や治療に耐えながら、それでもなお、遊びを求めてやまない。「医療スタッフができないことを、横から支えるのが私たちの役割です」と坂上さんは話す。
 ▽信頼獲得を
 だが、ただ遊べばいいというものではない。病院という特殊環境で事故や感染をいかに防ぐか。活動には的確な状況判断とスキルが求められる。
20141209honki2.jpg
 この日も冬場に流行するRSウイルス感染症の子どもが多かったため、プレールームでの集団活動を急きょ病室ごとに変更。メンバーも感染防止用のガウンや手袋を着用し細心の注意を払った。
 看護師の乾瑶子さん(28)は「メンバーはプロ意識が強い。子どもの年齢ごとにどんな遊びが発達を促すかも分かっている。とても助かっています」と信頼を寄せる。
 昨年1月、坂上さんをはじめ、神奈川、愛知、鹿児島の各県で活動に取り組む4人が発起人となり初の交流集会を開催。9団体27人が参加し、全国ネットを設立した。さらに今年2月の第2回集会には100人近くが詰めかけ、活動の広がりを感じさせた。今後は国や自治体にも働きかけ、遊びのボランティア普及に努めていく考えだ。
 「ボランティアを受け入れてくれない病院もまだまだ多い。信頼を得るには、活動の質をより高めていく必要があります」と坂上さんは話す。(共同通信 赤坂達也)