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2014.11.25

電子たばこ、是か非か
健康被害の危険性指摘も
WHOは規制を勧告

 ニコチンや人工香料を含む溶液を加熱して、蒸気を吸引する「電子たばこ」の市場が世界的に拡大している。国内でも利用者が急増し、最近は取扱業者も乱立状態だという。「紙巻きたばこより害が少ない」「禁煙に役立つ」という擁護論の一方、健康被害の危険性も指摘されている。だが、研究の遅れもあり、現状は功罪ともに明らかではない。そんな中、世界保健機関(WHO)が今年8月、各国に規制を勧告した。今後、国内での議論も本格化しそうだ。
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 ▽相次ぐ参入
 JR水戸駅からバスで約10分。茶葉を売る小さな木造店舗の片隅に、さまざまな形の吸引器が並べられている。
 「沼田茶舗電子タバコ店 」の店主、沼田成昭さん(39)が電子たばこのネット通販を始めたのは2010年。この年の10月、たばこ税が大幅増税され、禁煙目的で注目されたのが電子たばこだった。当初、月に50万円ほどだった売り上げは急伸し、今春のピーク時には月800万円に達した。
 電子たばこは吸引器に溶液を入れ、電熱線で加熱し蒸気を吸い込む。登場初期は紙巻きたばこを模した小型の製品が多かったが、より多量の蒸気を求めるユーザーの要望でバッテリーが大型化。ファッション性も追求されて製品が多様化した。
 「吸引器は4千~2万円程度。中国製が多い。最近は日本でも新規参入が増え、取扱業者の数は把握しきれません」と沼田さんは話す。
 ▽予防原則
 溶液にはニコチン、グリセリン、プロピレングリコール、果物や菓子の風味の香料などが含まれる。ただし、ニコチンは毒劇物法上の毒物に当たり、販売や譲渡が禁じられている。このため、ニコチン入り溶液を望むユーザーは海外の業者から個人輸入している。
 WHOによると、13年には電子たばこの購入に世界で30億ドルが費やされ、30年までに17倍に増えると予想されている。禁煙の広がりによる売り上げ減少をカバーしたいという、たばこメーカーの思惑も絡む。
 これに対し、WHOは健康へのリスクが否定できないとして、屋内での使用や未成年者への販売禁止などの規制を設けるよう各国に勧告。10月にモスクワで開かれた「たばこ規制枠組み条約」の締約国会議でも規制の方向性が打ち出された。
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 会議に出席した望月友美子・国立がん研究センター たばこ政策研究部長は「流行が先行し、健康影響などの研究は立ち遅れています。しかし全く歯止めのない今の状態は危険。予防原則を適用して既に禁止している国もあります」と話す。
 ▽喫煙の入り口
 WHOは、通常の紙巻きたばこに比べて使用者本人への毒性は低いとみながらも、妊婦が受動的に吸入した場合の危険性や、電子たばこが子どもの喫煙の入り口になったり、現在の禁煙政策を妨げたりする可能性に強い懸念を示している。
 流行が比較的最近のため、発症に長い年月を要する肺がんなどとの関連が判明するのは何年も何十年も先になるだろう。裏返せば、将来どんな健康影響が顕在化するかは未知数ということだ。
 「紙巻きたばこと比べれば『まし』という考え方ではいけない。早急な対策が必要です」と望月さんは強調する。
 日本では現在、電子たばこが法律上のたばこに当たるのかどうかも明確になっていない。たとえニコチンが含まれていても、未成年の吸引を禁じる法的根拠はない。
 沼田さんの店でも、購入希望の少年がこれまでに5人ほど来店した。だが、沼田さんは断った。「未成年は使うべきでない。適正な販売のため、業者の免許制などのルール作りを急いでほしい」と沼田さんは訴える。(共同通信 赤坂達也)