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医療新世紀
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2013.12.24

めまいを治すリハビリ
難治の患者に改善効果
目や耳を反復刺激

 「めまい」とは、体のバランスを保つ機能に異常が生じたために現れる症状だ。最も多い原因は耳の障害だが、ストレスなど心の問題とも深く関連している。年間の罹患者数は400万人ともいわれるが、専門医が少なく、適切な診断・治療が行われていないという。特に、薬で改善しない難治性の患者の苦しみは大きい。現在、一部の施設がめまいを治すリハビリテーションを実践し、効果を上げている。
 ▽前庭の障害
 「エレベーターに乗ったときに体が浮く感じ、あるいはジェットコースターでてっぺんから一気に落ちる感じにも似ています。20131224kao.jpg足元がふわふわ、頭がくらくらして、軟らかいマットの上を歩いているようです。目の前がゆがんで気分が悪くなります」。神奈川県に住むA子さん(57)は自身の症状をこう説明する。
 初めてめまいに襲われたのは26年前。「天井がぐるぐる回って、起きていられませんでした」。病院を受診したが症状は改善せず、原因すら分からないまま年月が過ぎた。9年前、ようやく「良性発作性頭位めまい症」と診断された。
 A子さんの現在の主治医で、めまいを専門とする五島史行・国立病院機構東京医療センター 耳鼻咽喉科医師によると、体のバランスは、視覚情報と、内耳の「前庭」が感知する頭の動きの情報、足裏の感覚の三つが、小脳で統合されて保たれている。これらの、どれか一つでも異常を来たすとめまいが起きる。特に前庭の障害は、原因の大半を占めるという。
 ▽心の問題も
 めまいは症状であって病名ではない。どんな病気がめまいを引き起こすのだろう。「思い付くだけでも、ざっと25はあります」と五島さん。
20131224honki1.gif 中でも多いのが、A子さんも患った良性発作性頭位めまい症。どの施設でも全体の4割ほどに達する。五島さんが以前勤務していた日野市立病院(東京)では36%。あとは施設によって違うが、片側前庭障害、一過性前庭障害、心因性、前庭型片頭痛、メニエール病などだ。
 心の問題も大きい。ストレスは小脳と大脳に悪影響を及ぼし、めまいを感じやすくさせ、悪化の原因となる。
 治療では、めまいや吐き気、不安を抑える薬、抗うつ薬、漢方薬などが用いられる。手術の選択肢もある。こうした治療には健康保険が使える。ほとんどの人はこれで治るが、限界がある。「患者さんの1割ほどはどうしても治らない。残った症状を改善するにはリハビリしかありません」と五島さんは解説する。
 ▽小脳を鍛える
 めまいの多くは、片側の前庭機能が急激に低下し、左右のバランスが崩れて起こる。通常は「中枢代償」と呼ばれる小脳の働きで左右差が修正され、めまいが改善するのだが、難治の患者ではこれが働かない。20131224honki.jpgしかし視線の移動や首振り、足踏みなどの方法で目と耳、足裏を反復刺激すると中枢代償が促進される。
 「最初は吐き気などの症状が誘発されますが、それを乗り越えて小脳を鍛えなければ治りません」と五島さん。ただし、原因によっては効果が出にくいめまいもある。
 東京医療センターは難治性患者を対象に、4泊5日の入院による集団リハビリを実施している。A子さんもここでリハビリの方法を習得し、効果を実感している。
 だが、その恩恵を受けられる患者はまだ限られている。めまい専門医は全国でも100人程度と少ない。リハビリには健康保険が使えず、取り組む施設も極めて少ない。
 五島さんはこのほど、リハビリの方法を分かりやすく紹介する「自宅で治せる めまいリハビリ」(金原出版、1260円)を出版した。より多くの患者を、めまいから解放するのが願いだ。(共同通信 赤坂達也)