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2013.09.03

婦人科の敷居下げたい
サイトや機器に女性目線
検診受診増加に期待

 子宮頸(けい)がんの検診受診率が先進国で最低レベルとされる日本。特定の年齢への無料クーポン配布など経済面で受診を促す施策はあるが、視点を変え「どうしたら婦人科の敷居が低くなるか」を、受診する女性の立場で考えた試みも出てきた。インターネットを使った情報提供と、女性に評判が悪い「内診台」を見直すという二つを紹介する。
20130903honki.jpg ▽シキュート
 NPO法人「子宮頸がんを考える市民の会 」(東京)は8月1日、自治体の子宮頸がん検診を女性がより受けやすいよう支援するインターネットサイト「SICUTE(シキュート)」(https://sicute.jp)を立ち上げた。
 住民登録している市区町村と生年月日を入力すると、その地区で受けられる検診の受診方法や費用などが分かるほか「女性医師の対応があるか」「土日や夜間の診療は」など自分の希望に合った医療機関を検索できる。
 メールアドレスも登録すれば、厚生労働省が推奨している2年に1回の検診の年に「忘れないで」とメールが届く。まずは東京都内のデータでスタートしたが、事務局長の渡部享宏さん(41)は「順次全国に広げたい」と話す。 20130903kao.jpg渡部さんは大学時代からエイズウイルス(HIV)感染の予防啓発活動に携わってきたが、若年患者が増えている子宮頸がんの対策が緊急に必要だと感じ、同じ問題意識を持つ医療関係者らと2004年に市民の会を発足させた。
 ▽欲しい情報がない
 経済協力開発機構(OECD)の11年のデータによると、日本の20~69歳の子宮頸がん検診の受診率は24・5%で、米国(85・9%)、英国(78・7%)のほか韓国(65・3%)にも大きく離されている。30代、20代と年齢が若くなるほど受診率も低下している。
 「受診率低迷の理由は幾つもあるが、受診者が欲しい情報が十分に伝えられていないことも一つ」と渡部さん。例えば、婦人科に一度もかかったことがない人は「できれば女医さんに」との要望が強いし、仕事や学校がない休日に受けたい人もいるが、自治体で分かるのは指定医療機関の一覧だけということも多い。 「受診者目線の情報提供を増やせば、受診者が集まり医療機関にもプラスになる。そんな良い循環をつくっていければ」と渡部さんは話す。
 ▽自分の意思で
 婦人科に何度通っても「あれだけは抵抗がある」と女性が口をそろえるのが、診察の際、医師に向かって脚を広げた状態で固定される内診台だ。検診台とも呼ばれる。
20130903honki1.jpg 医師が子宮内を診察したり、がん検診のためブラシなどで子宮の入り口の細胞をこすり取ったりする処置には必要といわれるが、脚を開いた姿勢で診察を待つのはほんの数秒でも不快に感じる。
 台の上げ下げや、脚の開閉も電動式が現在の主流というが、医療機器大手アトムメディカル (東京)は逆に、受診者が自分の意思で脚を開いたり閉じたりできる新しい内診台を昨年発売した。「忙しい医療現場で効率良く診察できるのが最重要とされてきたが、台に乗る人の不安や羞恥心の軽減を目指した」と同社開発担当。売り上げは従来タイプに及ばないものの、注目する医師が少しずつ増えているという。
 宇都宮市に昨年開院した「たかたクリニック 」の高田舞子副院長(産婦人科)もその一人。「自分が患者として電動開閉式の内診台に乗ったとき、こんなに恥ずかしいものはないと感じた」と話す高田さんは即、クリニックへの導入を決めたという。「診察時以外は脚を閉じておけるのは、小さいようだがとても大切なこと。女性の気持ちに寄り添うこうした機器ができたのは大きな進歩と言えるのでは」と話す。(共同通信 吉本明美)