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医療新世紀
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2012.10.23

進化する「お薬手帳」
スマホ版や防災用も登場
健康管理に積極活用を


 医療機関から処方された薬の名称や服用履歴などを記録する「お薬手帳」が進化している。調剤薬局で受け取ることができ、A6判サイズが多いが、スマートフォン(多機能携帯電話)で服用管理ができる電子版をはじめ、災害時に心強い防災型や子どもの健康づくりに狙いを絞ったものも登場した。大切なのは複数持たず一つに絞ること。使い方次第で普段も災害時も健康管理に役立つ強力なツールになる。
2012.1023honki.jpg ▽常時携帯
 お薬手帳はもともと、高齢者への処方薬の重複や有害な組み合わせなどを避ける目的で使われていた。しかし国が今年4月、全年齢層に普及を進める内容に診療報酬を改定したため、薬局は手帳の配布に従来より熱心に取り組むようになった。
 調剤薬局大手アインファーマシーズ (本社札幌市)は、お薬手帳のスマホ用アプリ(応用ソフト)をNTTドコモと共同開発。7月から全国約500の薬局で患者に提供している。
 専用アプリをスマホでダウンロード後、調剤明細書に印刷されたQRコードを読み込むと、薬の情報が保存される。飲み忘れ防止アラームやインターネットでの薬の情報検索、1台で家族全員の薬が管理できるなど、スマホらしい機能もある。
 ただ、この電子版単独では薬局にとって診療報酬上の収入にならないため、同社は紙の手帳とセットで発行。「常に持ち歩くスマホの携帯性を生かし、紙と同じ情報がいつでも見られる付帯サービス」(月岡良太・学術課長)との位置付けだ。2012.1023honki1.jpg10月中旬現在のダウンロード数は約3900。アプリはアンドロイド向けが先行したが、iPhone(アイフォーン)向けも10月中旬に公開された。
 ▽震災で注目
 国がお薬手帳の普及強化を進めたきっかけの一つは東日本大震災。被災地の避難所などでも、手帳を持っていた人は比較的スムーズに診療を受けられたことが明らかになり、正確な情報を手軽に確認、共有できる手段として注目を浴びた。
 静岡県薬剤師会 などは今年3月「防災型お薬手帳」を作製。巻末に防災情報や避難の心得などを載せた。表紙は防水仕様とし、発光印刷で停電時も見つけやすくするなど震災の教訓を生かした。
 県のモデル事業で作った10万冊はすぐになくなり同薬剤師会で25万冊増刷したが、既に大半が売れた。個人向けの販売はしないが、県外でも薬局や医療機関には100冊単位で販売するという。
 ▽情報を1冊に
2012.1023honki2.jpg 薬の記録を一歩進めて、子どもの健康づくりに活用できる手帳をと、子ども用の「けんこうキッズ」を企画制作したのが、平井康之九州大准教授が代表を務める研究グループ「こども×くすり×デザイン実行委員会」。
 氏名、住所、生年月日、血液型、アレルギーや副作用の経験、かかった病気の記録など、通常のお薬手帳にもある基本情報記入欄に加え「平熱は?」「排便は?」「睡眠は?」など、普段の健康観察ポイントや変化の見つけ方なども盛り込んでいる。調査研究段階から手帳づくりに協力した福岡市のNPO法人「こどもとくすり」 (中村守男代表)を通じ薬局や病院に販売。発売から2年余りで4万冊が売れた。
 これらユニークな手帳が手に入らなくても、自分で必要な情報を書き込むことでお薬手帳の利用価値は高まる。処方薬だけでなく、自分で買った市販薬やサプリメント、薬に関して知りたいことをメモするのもお勧め。飲み合わせの確実なチェックのために情報は1冊にまとめ、できるだけ常時持ち歩きたい。(共同通信 吉本明美)