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医療新世紀
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2012.09.11

青色光、人体への影響は
目に負担?
リズム調節も
賢くつきあう研究始動

 パソコンやスマートフォン(多機能携帯電話)などの液晶画面を長く見続けるような生活スタイルの広がりとともに、画面から出る青色の光「ブルーライト」の人体への影響に関心が高まっている。大量に浴びれば目に有害とされる一方、睡眠・覚醒リズムの調節に重要な役割を担うことも分かってきた。医師らが研究会を発足させるなど、ブルーライトと賢くつきあう方策を探る動きが活発化している。
2012.0911honki.gif ▽LEDに注目
 太陽の光は白っぽく見えるが、プリズムで分けると赤、黄など波長の異なるさまざまな色の光が含まれている。このうち青く見える光がブルーライトだ。波長は約400~500ナノメートル(ナノは10億分の1)と紫外線に次いで短く、エネルギーが強い。角膜や水晶体では吸収されず、目の奥の網膜まで届く性質もあるため、光が強いと活性酸素が増加して網膜を傷めてしまう。
 光の有害性を研究している労働安全衛生総合研究所 の奥野勉部長によると、日常生活で私たちが接する最も強いブルーライト発生源は太陽。今年5月にあった金環日食の際「直接見ると網膜症になる恐れがある」と警告されたが、これもブルーライトの仕業だという。
 短時間で明らかに有害なこうした強い光源とは異なり、長く見続けると害があるかもしれないとして注目され始めたのが、テレビやパソコンなどの液晶画面のバックライトに使われる青色発光ダイオード(LED)だ。
2012.0911honki.jpg ▽医学評価は未確定
 仕事でも家庭でも、こうした画面に向き合う人が増える中、ブルーライト低減をうたった眼鏡が相次いで発売され、人気を呼んでいる。「目の疲れの緩和」を強調する製品が多い。また近年、高齢者に増えている視野の中心部が見えにくくなる網膜の病気「加齢黄斑変性」にもブルーライトが関係している可能性が指摘され、これもブルーライトへの関心を後押ししたようだ。
 網膜障害に詳しい大平明弘・島根大医学部教授(眼科)は「LEDのブルーライトは新しい問題で、目への影響について医学的評価は定まっていない。有害である可能性を考えて眼鏡を利用するのもいいが、加齢黄斑変性の原因かどうかも含め、まだよく分からないということは知っておいた方がいい」と指摘する。
 ▽過去にない生活
 そんな中、医師らが中心となって5月に「ブルーライト研究会」を発足させた。世話人代表の坪田一男・慶応大医学部教授(眼科)はこう話す。
 「LEDから出るブルーライトは太陽光とは比較にならないほど微量だが、これほど長時間、液晶画面を見つめるような生活スタイルは過去になかった。また夜間は周囲の暗さに順応して瞳孔が開くので、より多くの光が網膜に届く可能性もある。人体への影響を多角的に考える必要がある」
 一方「ブルーライトは私たちの健康な生活に欠かせないものでもある」と言うのは、睡眠リズム研究が専門の国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 の三島和夫部長。鍵を握るのは、人間の網膜で近年確認された、体内時計の調節に関わっている細胞だ。
 この細胞にブルーライトが当たると、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の分泌が抑えられる。朝に適量のブルーライトを見ることで正常な目覚めをもたらすのだ。逆に、夜間にブルーライトを多く浴びると、眠りのリズムを乱す可能性が高まることになる。
 「ブルーライトを排除するのではなく、適度なつきあい方を明らかにすることが求められている。それにつながる研究を進めたい」と坪田教授は話している。(共同通信 吉本明美)