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医療新世紀
からだ・こころナビ
2012.05.08

細胞シートで聴力改善
中耳の病気で臨床研究へ

 鼓膜の奥にある中耳を手術する際に、患者自身の細胞を培養して作ったシートを貼り付けて粘膜の再生を促す臨床研究を東京慈恵会医大 が計画している。病気の再発を防ぎ、難聴を確実に回復させるのが目的だ。
 耳鼻咽喉科の小島博己准教授と濱孝憲助教らはウサギの実験で、細胞シートの移植から8週間たっても粘膜が正常に機能していることを確認。人間に使える質の高いシートの作製も完了した。厚生労働省に計画を申請した上で患者の治療に乗り出す。国内の対象患者は推計で年間1500人。
2012.0508.navi.gif 中耳腔は、外からの音を反響させて奥の内耳に伝える重要な空間だ。今回の治療対象は難治性中耳炎の2疾患。一つは中耳腔内にできた上皮の塊が周りの組織を壊し、隣接する顔の筋肉を動かす神経まで侵すこともある「中耳真珠腫」。もう一つは度重なる炎症によって鼓膜が中耳の内壁にくっつき、元に戻らない「癒着性中耳炎」。
 従来の手術では、病変部分を取り除いて聴力の改善を目指すが、一緒に取り去られた粘膜がうまく再生しないと改善は期待できない。同大での聴力改善の成功率は、中耳真珠腫で7割、癒着性中耳炎では5割にとどまるという。
 今回の研究では、事前に患者自身の鼻から、局所麻酔をした上で1センチ角の粘膜を採取する。そこに含まれる上皮細胞だけを3週間ほど培養、シートを3~4枚作り、手術時に中耳腔の粘膜がなくなった部位にシートを貼り付ける。
 鼻は中耳とつながっているため細胞の特徴が似ている。また、採取後の回復が早いため供給源として適しているという。