47NEWS >  共同ニュース >  医療・健康  >  医療新世紀 >  危ない睡眠時ブラキシズム歯の摩耗や顎関節障害悪影響を最小限に
医療新世紀
歯科
歯科関連のニュースがご覧頂けます。
2011.09.20

危ない睡眠時ブラキシズム
歯の摩耗や顎関節障害
悪影響を最小限に

 睡眠の最中、無意識に歯をこすり合わせて「ガリガリ」「ボリボリ」と耳障りな音を発する「歯ぎしり」。音は立てないものの、強い力で歯をかみしめてしまう「食いしばり」と合わせ、「睡眠時ブラキシズム」と呼ばれる。一緒に寝ている人の安眠を妨げるだけでなく、歯の摩耗や折損、顎の関節の障害など重大なトラブルを引き起こす。
 なぜブラキシズムが起きるのか詳しい原因は分かっておらず、それ自体を止めることはできないが、悪影響を最小限にとどめる方法はある。人から歯ぎしりを指摘されたり、歯や顎に異変を感じたりしたら、早めに歯科医に相談したい。
 2011.0920honki.jpg▽妻の指摘
 「歯が欠けて食事がしづらい」。昭和大歯科病院 (東京都大田区)を訪れた男性(68)はこう訴えた。馬場一美教授(歯科補綴学)の問診に、男性は「朝起きた時、顎に疲労感がある。 妻に歯ぎしりを指摘されている」と告げた。口の中を調べると、奥歯が2本欠けており、残った奥歯も表面のエナメル質がすっかりすり減っていた。馬場教授は、歯の欠損によるそしゃく障害と睡眠時ブラキシズムと診断した。
 馬場教授は「人口の5~15%が睡眠時ブラキシズムといわれる。歯ぎしりと食いしばり、どちらか一方の人もいれば、両方混在する人もいる」と説明する。
  症状のうち最も多いのは歯の摩耗で、進行すると歯が割れたり折れたりする。歯が部分的に鋭利になり、頬の内側や舌、唇などの軟らかい組織を傷つけることもある。歯の動揺によって歯周病も悪化する。2011.0920honki2.jpg
 ▽眠りの周期
 顎への影響も大きい。睡眠中の持続的な筋収縮で、そしゃく筋の痛みや疲労感が引き起こされる。この症状は起床時に最も強く、時間がたつと消えるのが特徴だ。だが、関節にかかる力が過度になれば、それだけでは済まない。口が開けにくく、関節内の雑音などの異常が起きる「顎関節症」の発症につながる。
 「通常、奥歯にかかる力は最大で自分の体重ぐらい。ところが、睡眠時ブラキシズムでは、さらに大きな力がかかることがある。覚醒時には『これ以上かむと歯が壊れてしまう』というフィードバックが働くが、睡眠中はこうした回路が機能しない」(馬場教授)
 睡眠には、眠りが深いノンレム睡眠と、浅いレム睡眠があり、ノンレム睡眠はさらに、比較的浅い1、2段階と深い3、4段階に分けられる。浅いノンレムから深いノンレム、さらにレムへというサイクルが一晩に4~5回繰り返される。
 ▽力を配分
 2011.0920honki3.jpg睡眠時ブラキシズムの多くは、浅いノンレム睡眠で発生することが分かっている。しかし、なぜ起きるのか、根本原因は不明のまま。かみ合わせやストレスの影響を指摘する説もあるが、科学的に証明されていない。
 問診ではまず、一緒に寝る人(睡眠同伴者)からの指摘があるかどうかを確認する。指摘があれば、歯ぎしりの可能性が高い。指摘がない場合や同伴者がいない場合は、起床時の歯や顎の疲労感や痛み、歯の摩耗の有無などを調べ、歯ぎしりか食いしばりか、あるいはブラキシズムではないのかを見極める。2011.0920honki1.jpg
 治療では悪影響を可能な限り減らすことが目標となる。「重要なのは歯の保護と、歯や顎関節にかかる力の分布を制御すること」と馬場教授。
 そこで有効なのが、患者に合わせて作製する「スプリント」という樹脂製のマウスピースだ。歯の表面を摩耗から守るとともに、歯にかかる力を歯列全体に均等に配分する。顎関節内の圧力もコントロールし、ダメージを防げるという。(共同通信 赤坂達也)