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医療新世紀
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2011.02.08

酸性の飲食物は要注意 
歯が溶ける「酸蝕歯」 
習慣見直して予防を

 飲食物などに含まれる酸により、歯の表面が溶けてしまう「酸蝕歯」。進行すると冷たいものが歯にしみる知覚過敏や、虫歯のような痛みを引き起こす。原因となる酸性飲食物は、炭酸飲料やかんきつ類など、私たちの食生活に深く根付いた身近なものばかり。予防には、食生活の習慣を見直して、過剰摂取や不適切な飲み方、食べ方を改めることが大切だ。20110208honki1.jpg
 ▽神経も露出
 下の奥歯に痛みを訴え東京医科歯科大 病院を受診した男性(62)。奥歯表面のエナメル質が溶けてクレーターのような穴がいくつも開き、象牙質が露出していた。問診の結果、毎朝のジョギング後、1年半にわたって黒酢を飲み続けてきたことが判明。口の奥にためながら飲む癖も、酸蝕歯を発症する要因になったと診断された。
 下の犬歯と奥歯の激痛で来院した女性(64)は、手の甲のしみを薄くしようと、ビタミンCの豊富なグレープフルーツを3カ月以上にわたり毎日2個ずつ食べていた。かみ合わせの影響でもともと摩耗が進んでいたところに強い酸が加わり、象牙質どころか、その下の神経までもが露出して炎症が起きていた。20110208honki2.jpg
 「虫歯や歯周病と異なり、酸蝕歯の患者さんには比較的まじめで健康意識の高い人が多い。体に良いと思った習慣をきちんと続けたことが、かえって歯に悪影響を与えてしまうケースが目立つ」と同大の北迫勇一助教(う蝕制御学)は話す。
 ▽pH5・5
 酸性の飲食物を摂取すれば、当然のことながら口の中は酸性に傾く。しかし通常は、唾液が酸を中和して口内を中性(pH7・0)に戻すとともに、唾液に含まれるカルシウムなどが、溶けたエナメル質を修復(再石灰化)してくれるため歯の健康は維持される。20110208honki3.jpg
 ところが、酸に触れる時間が長い場合や頻度が高い場合、口内が乾いて唾液が少ない場合には、修復が間に合わずに酸蝕が進んでしまう。エナメル質が薄くなって歯が欠け、象牙質が露出して歯が黄ばむ。知覚過敏や痛みなどの症状も現れる。
 「エナメル質はpH値が5・5を下回る酸に触れると溶け始める。象牙質はそれより酸性度が低いpH6・4でも溶けてしまう。象牙質が露出すると症状は急速に悪化しやすい」と北迫さんは解説する。
 北迫さんらが市販の飲料120種のpH値を測定したところ、実に73%の製品がpH5・5を下回った。調味料やかんきつ類の調査でも、多くがエナメル質を溶かしうるpH値を示した。
 ▽歯質強化を
 例えば、コーラ飲料は2・2。アルコール依存や過食症で嘔吐を繰り返すと、強酸性の胃液(pH1・0~2・0)が原因で酸蝕歯になることがあるが、コーラ飲料のpHは胃液の値にかなり近い。栄養ドリンクも2・5と高い酸性度。黒酢飲料は3・1、スポーツドリンクは3・5だった。
 治療には、薬剤で歯の再石灰化を促す方法や、合成樹脂を詰めて欠損部を修復する方法が取られる。しかし、何より大切なのは予防だという。20110208honki4.jpg
 北迫さんは「炭酸飲料を頻繁に飲むなど、歯が酸にさらされやすい習慣は改めるべきだ。乳幼児にジュースを哺乳瓶で与え、そのまま寝かしたり、ワインをちびちび飲んだりするのもリスクを高める」と指摘。対策として①酸性飲食物の摂取後は水やお茶で口をすすぐ②軟化した歯が削れるのを防ぐため、摂取後30分は歯磨きを控える③デンタルガムやフッ素入りの歯磨き剤で歯質を強化する―などを勧めている。(共同通信 赤坂達也)(2011/2/08)