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2010.09.28

「ガンマナイフの最新治療-3」
拡大する治療対象 
林基弘・東京女子医大講師

 ―脳動静脈奇形はどんな病気ですか。
 「通常、動脈と静脈の間には毛細血管がありますが、母親の胎内にいる時にこうした接合がうまく作られず、動脈と静脈が直接つながった状態となって、ぐるぐるとした糸巻き状の血管塊が形成される先天性疾患です。圧の高い動脈から低い静脈へと一気に血液が流れるため、血管塊の一部が破裂して、くも膜下出血や脳内出血を起こしやすいことで知られます。若い人の脳卒中ではまず、これを疑います」20100928onepoint.jpg
 「また、本来は脳の組織に供給される血流が血管塊に盗まれるため、虚血による一時的な手足のまひや、てんかん発作を起こすこともあります」
 ―ガンマナイフはどのように作用しますか。
 「照射を受けた血管塊では、血管の内側の細胞が死んでいきます。その過程で血管の内腔が徐々に狭まり、最後は閉塞に至ります。2、3年で完全にふさがり、出血の危険がなくなります」
 ―ほかの治療法との使い分けは。
 「破裂して発見された場合は、救命のために開頭手術で血腫を除去します。その際、摘出しやすい血管塊であれば一緒に摘出しますが、摘出困難な場合は血腫の除去だけを行い、後日、ガンマナイフで治療します。未破裂の場合も、摘出の難しい症例にはガンマナイフを優先的に使います。ただし大きな血管塊への治療は脳浮腫を起こしてしまう可能性があるため、2回以上に分けて照射することがあります」
 ―機能性疾患への応用は進んでいますか。
 「日本ではまだ治療件数が限られていますが、海外では症例全体の1割ほどを占めています。代表的なのは、歯や顔に激痛が走る三叉神経痛。血管によって神経が圧迫されるために起こり、高齢者に多い病気です。通常、薬物治療がうまくいかない場合には開頭手術を勧めますが、全身麻酔下の手術が難しい高齢者ではガンマナイフを考えます。三叉神経に照射すると95%以上の患者さんで痛みが消えたり軽減したりする一方、約25%の患者さんに顔のしびれなどの副作用が現れます」
 ―ほかの応用例は。
 「がん性疼痛や難治性てんかん、パーキンソン病や本態性振戦の体の震えなどに対しても有効性が報告されています」(共同通信 赤坂達也)(2010/9/28)