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2010.09.21

「ガンマナイフの最新治療-2」
摘出困難な腫瘍に威力 
林基弘・東京女子医大講師

 ―どのような病気がガンマナイフ治療の対象になりますか。
 「主な適応疾患は転移性脳腫瘍、良性脳腫瘍、脳動静脈奇形です。いずれも医療保険が適用されます。さらに最近は、痛みやてんかん、振戦(体の震え)など、機能性疾患と呼ばれる病態にも応用されています。ただ、これらにはまだ医療保険は適用されていません」
 ―国内で最も治療症例数が多いのは。
 「転移性脳腫瘍が全体の7割ほどを占めます。肺がんや乳がん、大腸がんは、脳に転移しやすいがんです。実は、脳転移に対する標準治療は脳全体に放射線を当てる全脳照射です。全脳照射は、目に見えない細胞レベルの転移までたたくという意味で必要な治療法ですが、一方で脱毛や骨髄機能低下、皮膚炎などの放射線障害が早い段階から現れ、遅発性の認知障害も4割以上の患者さんで起きます。患者さんによっては、脳の負担がより軽いガンマナイフ治療が最適なケースがあると思います」20100921onepoint.jpg
 ―どんな脳転移に適していますか。
 「病変が1個だけなら最大径が3センチ未満の場合です。3センチ以上と大きいときは開頭手術か、やや低線量の複数回照射を行います。病変が2個以上の多発性の場合には、可能な限りガンマナイフを基本に治療方針を立てます。個数に制限はありませんが、1回の治療で10個までが目安です。10年以上前は脳に転移すると85%が亡くなりましたが現在は15%。ガンマナイフが寄与しています」
 ―良性脳腫瘍の症例はどのくらいありますか。
 「2割ぐらいです。良性腫瘍は被膜構造を持っており、周囲の組織に浸潤しません。大きくさえならなければ周囲の脳や神経に悪影響を及ぼすことはないので、腫瘍の成長を止め、縮小の可能性があるガンマナイフの良い適応になります。特に開頭手術で取りきれなかった腫瘍や再発した腫瘍、摘出困難な場所の腫瘍には威力を発揮します」
 「一方、良性腫瘍の中でも髄膜種は、ガンマナイフで治療してもなかなか縮小しません。成長が止まっても周囲の脳や神経を圧迫している状態が解消されなければ成功とは言えないので、その場合は開頭手術とガンマナイフの併用を勧めています」(共同通信 赤坂達也)(2010/9/21)