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2010.09.14

「ガンマナイフの最新治療-1」
脳の病気、切らずに治す 
林基弘・東京女子医大講師

 脳腫瘍や脳血管の奇形など、脳の病気を開頭せずに、しかし、まるで病変をナイフで切り取るかのように治す「ガンマナイフ」。放射線をメス代わりに使う先端的な脳神経外科手術だ。患者の体の負担が少ない治療方法として、国内でも急速に普及しつつある。ガンマナイフの仕組みや治療の実際、将来展望などについて、5500例を超える治療実績を持つ東京女子医大脳神経外科の林基弘講師に聞いた。20100914onepoint.gif
 ―ガンマナイフの基本原理を教えてください。
 「201個のコバルト線源が半円球状かつ同心円状に配置され、それぞれから放出されたガンマ線が中心の1点に集中するように設計されています。個々のガンマ線のエネルギーは非常に低いのですが、集束する1点に限っては極めて高いエネルギーが得られます。これにより周辺の正常組織は傷つけることなく、狙った病変には高線量の放射線を1回で照射できます。照射された病変は壊死を起こします。ちょうど太陽光線を虫眼鏡で1点に集中させて紙をこがすイメージです」
 ―放射線による体への悪影響はありませんか。
 「目標の病変以外では線量が非常に低いので、髪が抜けたり皮膚が炎症を起こしたり、骨髄機能が低下したりすることはありません。通常の放射線治療と違う点です」
 ―照射の精度はどの程度ですか。
 「2002年以降に国内に導入され、多くの施設で使われている現行システムでは0・1ミリ、髪の毛1本分ほどの精度で照射できます。照射位置の設定を手と目で行っていた以前のシステムは0・5ミリ。現在は設定がフルオートマチック化し、治療計画を立てる際に必要なCT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像装置)などの進歩もあって精度が飛躍的に向上しました」
 ―国内外での普及状況と治療症例数は。
 「世界全体では約280施設で約45万件の治療が行われました。日本では55施設が導入し、症例数は約13万件にも上っています」20100914onepo1.jpg
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 はやし・もとひろ 91年、群馬大医学部卒業後、東京女子医大脳神経センター脳神経外科 入局。94年からガンマナイフに従事。仏マルセイユ・ティモンヌ大留学などを経て01年、東京女子医大ガンマナイフユニット治療責任者。07年から同大脳神経外科講師。東京都出身。(共同=赤坂達也)(2010/9/14)