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医療新世紀
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2010.09.07

「塩分と健康-5」
国民全体で対策を 
木村玄次郎教授

 ―1日の食塩摂取量の70~80%を占めるともいわれる加工食品や外食分野で、減塩をどう進めるべきか。
 「国や学会、業界のリーダーシップで、食品中の塩分を段階的に減らしていく取り組みは不可能ではないと思います。欧米を中心に、一部の国や自治体では既に対策が始まっています」
 ―具体的には。
 「例えば英国などでは、製品ごとに食塩の含有量を表示するとともに、その食品での平均的な含有量であれば黄色、平均より多ければ赤、少なければ緑に色分けしたラベルを張り、消費者が購入時に見分けられるようになっています」 20100907onepoint.gif
 「メーカーは緑の製品を増やそうと努力し、成功すればブランドイメージは上がります。含有量を10~15%減らしても味に差はないとされているので、次のステップで基準となる食塩含有量を減らすことを繰り返せば、社会全体で食塩摂取量を減らしていくことが可能になります」
 ―高血圧のなりやすさには個人差もあるが、国民全体の対策が必要か。
 「食塩を摂取すると血圧が上がるかどうかの食塩感受性を調べるのは、非常に難しいのです。一方で、感受性が最も乏しい新生児に半年間だけ食塩摂取を制限すると、その後は普通の食生活を送っても、13年後に血圧の低い状態が維持されたとの研究があります。減塩の意義は非常に大きいと言えます」
 「現在、高血圧の人は日本に4千万人とも言われますが、薬物療法は血圧がかなり高い人を中心に行われています。心血管病になる人の多くは、血圧が平均よりやや上くらいの人ですが、この大部分に治療はなされていません」
 ―効果的な治療を受けている人は少ない?
 「4千万人のうち500万人程度だとみられています。したがって、全人口を対象に1次予防としての減塩を効果的に実施できれば、日本人全体で心血管病をかなり減らすことができると思います。これによる効果は、降圧薬によって救うことができる人の数を上回るとも言われています。減塩に加えて降圧薬を使う二段構えになれば降圧薬の作用も増強されます。食塩の制限こそが、最も達成可能な健康施策だと思います」(共同=江頭建彦)(2010/09/07)