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2010.08.10

「塩分と健康-1」
塩は少しで生きられる 
木村玄次郎教授

 厚生労働省は4月、健康維持などのために定めている1日当たりの食塩摂取の目標量を引き下げた。塩分の取りすぎは高血圧などの生活習慣病や一部のがんなどと密接に関連するが、現代の食生活とも関連し減塩は容易ではない。健康への悪影響や求められる対策について、名古屋市立大大学院医学研究科 の木村玄次郎教授に聞いた。
 ―塩分は体にとって重要なものでは?
 「確かにそうですが、通常は自ら積極的に摂取しなくてはならないものではありません。人類の祖先が進化の過程で海から陸に上がった際、周りになくなった塩分(ナトリウム)を体内に蓄える体の仕組みができました。微量の塩分を節約して利用するシステムが備わっているため、わざわざ食塩を加えなくても、素材などにもともと含まれている塩分で十分、生きていけるのです」
 ―よく知られている高血圧は、なぜ塩分の取りすぎで起きるのか?
 「血液中の塩分濃度が高まるので、これを薄めるために水分が増え、血液の量が増えて血管の壁への圧力、つまり血圧が上昇するのです。塩分節約の仕組みが逆に体に悪さをして高血圧になり、この働きを抑える治療が必要になってしまうのです」
 「平均の食塩摂取量が多い国や地域ほど、高血圧の人の頻度が高くなるというのは、人種の違いを超え共通です。日本人に限っても、摂取量の多い地域ほど高血圧の人の割合が多いことは以前から知られています」
 ―血圧の上昇は年齢とも関係するのでは。
 「年齢とともに血圧が高い人が増えるのは、生理的な現象のように思われがちですが、食塩の摂取量が増えるためだということが国際的な研究で明らかにされています。別の研究で、食べ物に塩を加える習慣がない民族を調べると、赤ちゃんも高齢者も血圧は変わらないとの結果が出ています。過剰な食塩摂取を続けていけば、誰でも高血圧になり得ると考え、対策を進めることが重要です」20100810onepoint.jpg
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 きむら・げんじろう 73年、大阪大医学部卒。米国立衛生研究所、ミネソタ大医学部客員上級研究員、ハーバード大医学部客員講師などを経て95年に国立循環器病センター(当時)内科主任医長。99年から名古屋市立大心臓・腎高血圧内科学(第3内科)教授。和歌山県出身。(共同通信 江頭建彦)(2010/8/10)