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2010.08.03

「うつ病医療への提言-4」
余裕持てる社会の仕組みを 
山脇成人広島大教授

 ―うつ病医療の課題は。
 「全体の20~30%とみられる難治性患者への対応は大きな課題で、有効な手だてが打てれば自殺対策にもつながります。難治性のうつ病には生物学的な要因、心理社会的な要因、脳の器質的な要因などが絡んでいることが分かってきました」
 「例えば、ストレスに反応するホルモンの血液中の濃度が高い人や、小学校半ばくらいまでの幼少期に虐待や養育放棄などで心的外傷(トラウマ)を負った人、小さな潜在性の脳梗塞がある人などが、難治の患者には多いとの研究結果があります。ただ、全体像の解明はまだまだです」20100803onepoint.gif
 ―専門医療機関の整備が必要では。
 「難治性患者を中心に専門的治療や臨床研究を行う『うつ病センター』のような施設があればいいのですが、実際には限られた専門医にさまざまな患者が集中し、現場はパンク状態です。教育関係者や心理学、産業精神衛生の専門家との連携を強め、より早い段階から介入していくことで予防的な対処が進めばいいと思います。家族が家族としての機能を取り戻すことも重要です」
 ―精神科医を受診する抵抗感が減った半面、診療時間が短く、薬を処方するだけとの不満もある。
 「薬物治療は重要ですが、良くならない場合は問題点や自分の気になることをできればメモで医師に伝え、薬がどのように効くのか、なぜ飲み続けるのかの説明がなければ別の医療機関に行くのも一つの手段です。むやみに変えるべきではありませんが、信頼できる医師に出会えれば再発にも適切に対処してもらえます」
 ―日本精神神経学会など4学会が、うつ病対策に関する共同宣言を出した。
 「対策は国家的課題だと訴えています。国民にうつ病への正しい知識が普及していないことも発見や治療の遅れの原因となっており、10年、20年先まで見据えた継続的な啓発活動が必要との立場です」
 ―社会に対し、どんなメッセージが必要と考えるか。
 「『~しなければ』と、強迫的に走り過ぎている人が多いのではないでしょうか。『何でそんなに走っているのか。これくらいでいいんじゃないか』と考える余裕が持てる社会の仕組みをつくっていければいいと思います」(共同通信 江頭建彦)(2010/8/3)