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2010.07.27

「うつ病医療への提言-3」
周囲の協力も大事 
山脇成人広島大教授

 ―どんな時にうつ病を疑い、受診するべきか。
 「不眠は大事なサインですし、以前は楽しめていたことがそう感じられなくなった経験が重なった時なども気を付けてほしい。ただ、本人自身は冷静さを失って気付きにくいので、家族など周囲の協力が大事です。周囲が『この人らしさがなくなった』と感じ、本人もそう思うようなら受診を考えていいと思います」
 ―標準的な治療は。20100727onepoint.gif
 「症状のレベルに応じて薬物療法や精神療法を行いながら、十分な休養でストレスから解放することが柱です。うつ病のタイプの見極めがついていれば、適切な治療により数カ月で社会復帰できる人はたくさんいます」
 ―薬の種類は。
 「抗うつ薬は、安定や充実感を得られる脳内物質セロトニンの量を増加させる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が主流です。有効性のデータが豊富で従来の薬より副作用も少なく、この薬が合うと判断できる人には十分な量を十分な期間投与します。これらが有効でない場合は、従来の抗うつ薬などが使われることもあります」
 ―精神療法はカウンセリングが中心か。
 「安易に励ましたりせず、本人の言葉を肯定的に支持しながら、退職や離婚など重要な決定は保留にしてゆっくりと回復を促すことがカウンセリングの主眼です。自殺を防ぐことも大きな目的です。このほか、認知行動療法と呼ばれるものもあります」
 「うつ病の人は、自分のネガティブ(否定的)な部分への感受性が高くなっています。そこで、憂うつな気分を引き起こす思考のパターンを学び、ひずみを自分でコントロールできるようにするのがこの治療です。広島大病院では5~6人の患者とスタッフによるグループセミナーの形で行い、自分の考え方や生活を振り返ってもらいます」
 ―ほかの治療は。
 「難治性の患者や自殺願望の強い人などには、頭部に電極を当てて電気刺激を与える治療があります。磁気による刺激の治療も研究が行われています。病状の経過は一進一退の人もいますが、根気よく治療を続ければ回復が期待できることを知ってほしいと思います」(共同通信 江頭建彦)(2010/7/27)