今週のニュース
2010.05.06
動いて元気、心臓リハビリ
再発予防に効果大
認知度低く普及に課題
心筋梗塞など心臓病の入院治療を受けた人が、退院後も適切な運動を続けることで病気の再発を予防する「心臓リハビリテーション」が注目されている。国内では認知度が低く普及途上だが、欧米では多くの患者が参加する。楽しみながら体を動かし元気になる心臓リハビリの現場を訪れた。
▽さながらジム
「無理せず筋肉を意識して腕を伸ばして」。小さな体育館ほどの広さがある吹き抜けスペースに、リズミカルな音楽と運動療法士の声が響く。医療スタッフが見守る中、心拍数の遠隔モニター装置を腰に付けた十数人が、それぞれのペースでストレッチやランニングに取り組む。
大阪府吹田市の国立循環器病研究センター 。リハビリ棟の4、5階に心臓リハビリ部門がある。自転車型トレーニング器具や、動くベルトの上を歩いたり走ったりするトレッドミルが並ぶ様子は、まるでスポーツジムのようだ。
違うのは、参加するのが先日まで心臓病で入院していた患者ばかりだという点。狭心症のバイパス手術や、急性心筋梗塞のステント治療を受けた人が含まれる。
▽死亡26%減
「心臓病の場合、以前は退院後も動かずに安静にしていなさいと言うのが普通だった」と心臓血管内科の後藤葉一部長。
欧米では1970年代に、入院中のリハビリで患者の早期社会復帰を目指す試みが本格化。80年代以降に追跡調査が行われ、退院後も適切な運動を続けると高血圧、高血糖、脂質異常など動脈硬化の要因が改善し、再発や死亡が減少することが分かってきた。心疾患による死亡が26%減るとの報告もある。
国内でも似た結果が出た。後藤部長が主任研究者の厚生労働省研究班は、国内14施設の急性心筋梗塞患者約700人で心臓リハビリの効果を調査。リハビリを受けなかった人の8%が1年半後までに心筋梗塞や狭心症を発症して再入院したが、受けた人の再入院は4%と少なかった。バイパス手術を受けた人でも同様な効果がみられた。
後藤部長は「ほとんどの心臓病で体力と生活の質の向上が期待できる。心臓病だからこそ運動が必要という考え方に変わってきた」と話す。
▽精神面も支援
同センターの外来心臓リハビリは1回約1時間。週に1~3回、3カ月が1コースだ。最初は自転車型器具をこぎながら心拍数や心電図、血圧などを計測。専門知識を持つ医師や心臓リハビリ指導士が、患者一人一人の体力に合わせた運動プログラムを作成する。
患者には自宅でも30分から1時間の運動を毎日続けてもらう。自分で脈拍を調べ、適切な運動量を知る練習もする。
医療スタッフは食生活改善や禁煙など自己管理についてもアドバイス。病気に伴う不安やうつなどを防ぐため、精神面でもサポートする。看護師の小西治美さんは「それまで運動をしたことがなかった人も楽しんで参加するようになった。同じ境遇の人が集まることが大きな励みになるようです」と話す。
▽施設要件厳しく
ただ普及には課題が多い。後藤部長らの研究班は、日本循環器学会が認定する循環器専門医の研修を受け入れている全国約530病院にアンケート。うち92%がステント治療を手掛けているが、外来心臓リハビリを実施しているのはわずか9%だった。
「専任スタッフの配置や、訓練室に一定の面積が求められるなど、施設要件が厳しいのが原因の一つ」と後藤部長。「患者の健康だけでなく、長期的な医療費抑制に役立つ可能性がある。医師や一般への普及啓発に力を入れたい」と語る。(共同通信 吉村敬介)(2010/5/6)
実施病院は日本心臓リハビリテーション学会 のホームページ(http://square.umin.ac.jp/jacr/)に掲載
▽さながらジム
「無理せず筋肉を意識して腕を伸ばして」。小さな体育館ほどの広さがある吹き抜けスペースに、リズミカルな音楽と運動療法士の声が響く。医療スタッフが見守る中、心拍数の遠隔モニター装置を腰に付けた十数人が、それぞれのペースでストレッチやランニングに取り組む。
大阪府吹田市の国立循環器病研究センター 。リハビリ棟の4、5階に心臓リハビリ部門がある。自転車型トレーニング器具や、動くベルトの上を歩いたり走ったりするトレッドミルが並ぶ様子は、まるでスポーツジムのようだ。

違うのは、参加するのが先日まで心臓病で入院していた患者ばかりだという点。狭心症のバイパス手術や、急性心筋梗塞のステント治療を受けた人が含まれる。
▽死亡26%減
「心臓病の場合、以前は退院後も動かずに安静にしていなさいと言うのが普通だった」と心臓血管内科の後藤葉一部長。
欧米では1970年代に、入院中のリハビリで患者の早期社会復帰を目指す試みが本格化。80年代以降に追跡調査が行われ、退院後も適切な運動を続けると高血圧、高血糖、脂質異常など動脈硬化の要因が改善し、再発や死亡が減少することが分かってきた。心疾患による死亡が26%減るとの報告もある。
国内でも似た結果が出た。後藤部長が主任研究者の厚生労働省研究班は、国内14施設の急性心筋梗塞患者約700人で心臓リハビリの効果を調査。リハビリを受けなかった人の8%が1年半後までに心筋梗塞や狭心症を発症して再入院したが、受けた人の再入院は4%と少なかった。バイパス手術を受けた人でも同様な効果がみられた。

後藤部長は「ほとんどの心臓病で体力と生活の質の向上が期待できる。心臓病だからこそ運動が必要という考え方に変わってきた」と話す。
▽精神面も支援
同センターの外来心臓リハビリは1回約1時間。週に1~3回、3カ月が1コースだ。最初は自転車型器具をこぎながら心拍数や心電図、血圧などを計測。専門知識を持つ医師や心臓リハビリ指導士が、患者一人一人の体力に合わせた運動プログラムを作成する。
患者には自宅でも30分から1時間の運動を毎日続けてもらう。自分で脈拍を調べ、適切な運動量を知る練習もする。
医療スタッフは食生活改善や禁煙など自己管理についてもアドバイス。病気に伴う不安やうつなどを防ぐため、精神面でもサポートする。看護師の小西治美さんは「それまで運動をしたことがなかった人も楽しんで参加するようになった。同じ境遇の人が集まることが大きな励みになるようです」と話す。
▽施設要件厳しく
ただ普及には課題が多い。後藤部長らの研究班は、日本循環器学会が認定する循環器専門医の研修を受け入れている全国約530病院にアンケート。うち92%がステント治療を手掛けているが、外来心臓リハビリを実施しているのはわずか9%だった。
「専任スタッフの配置や、訓練室に一定の面積が求められるなど、施設要件が厳しいのが原因の一つ」と後藤部長。「患者の健康だけでなく、長期的な医療費抑制に役立つ可能性がある。医師や一般への普及啓発に力を入れたい」と語る。(共同通信 吉村敬介)(2010/5/6)
実施病院は日本心臓リハビリテーション学会 のホームページ(http://square.umin.ac.jp/jacr/)に掲載


