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医療新世紀
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2010.04.20

乾癬治療に生物学的製剤 
高い効果、副作用にも注意 
学会が安全対策

 皮膚が赤くなって盛り上がり、フケのようにはがれ落ちる「乾癬」。強いかゆみや関節症状が出る人もおり、患者の生活の質(QOL)は低い。この病気に、関節リウマチなどに使われる生物学的製剤2種が承認された。高い効果の一方で副作用にも注意が必要で、関係学会は使用施設を限るなどの安全対策を取る。
 ▽うつらない
 「かいているうちに皮膚が破れ血がにじむ。はがれ落ちた皮膚を掃除するため、外出先には粘着テープを持参する。そして何よりも人目が気になる」。患者団体、東京地区乾癬患者友の会 の役員大蔵由美さんは、患者の苦悩をこう語る。
 表皮の細胞は通常、1カ月程度かかって新しいものに入れ替わるが、乾癬の患者はこれが3~4日で起こり、白いフケのような「鱗屑」が厚く付着して粉をふくようになる。炎症が起こり、毛細血管が拡張して皮膚が赤くなる。20100420honki.gif
 乾癬の9割を占めるのが、こうした症状が中心の尋常性乾癬。症状が全身に拡大し体全体が真っ赤になる「乾癬性紅皮症」や、関節の痛みや変形を伴う「関節症性乾癬」なども含め患者は国内に10万人以上と推定されている。若い世代が多く、学業や仕事などに影響が出て自殺を考えた人が少なくないとのデータもある。
 東京逓信病院 の江藤隆史・皮膚科部長は「体質と環境要因が重なり発症すると考えられる。認知度が低い上、病名から感染する病気との誤解もあるが、決してうつる病気ではない」と強調する。
 ▽外用にストレス
 治療は軽症の患者では外用療法が中心。炎症を抑えるステロイド外用薬や、皮膚の新陳代謝を抑える作用などがあるビタミンD3外用薬が広く使われている。中等症から重症には、紫外線を照射する「ナローバンドUVB療法」などの光線療法、ビタミンA酸誘導体(エトレチナート)や免疫抑制剤シクロスポリンなどを使った内服療法を、外用療法に併用する20100420honki.jpg
 治療の選択肢は増えているが、慈恵医大 皮膚科の中川秀己教授は「患者への調査などを見ると本当に満足している人は少なく、医師の評価とは隔たりがある」と話す。例えば、乾癬は患部の面積が広く外用剤の塗布に長い時間がかかるため、ストレスを感じる人が多い。体の20%以上に塗るような人では、指示通り塗り続けるのが難しいという。
 ▽関節症状にも
 こうした中、患者団体や学会が早期承認を求めていたのが、欧米で広く使われている生物学的製剤。生物がつくり出すタンパク質を利用した薬で、特定の分子に結合して働きを抑える。使用が可能になった「インフリキシマブ」と「アダリムマブ」は、患部で大量につくり出され炎症を引き起こす「TNFα」という生体内物質を阻害する。
 16歳以上で、既存の治療法では十分な効果がなく、症状が体の10%以上に及ぶ尋常性乾癬や関節症性乾癬の患者らが対象だが、薬によって一部適応が異なる。インフリキシマブは点滴、アダリムマブは皮下注射で一定の間隔で投与する。
 大蔵さんは「内服療法でも改善しなかった関節の症状に劇的に効いた。これまで夢だと思っていたことをあきらめずに済んだ」。江藤部長も「さまざまな治療の中でも効果は格別」と話す。
 生物学的製剤は結核、肺炎など感染症を中心とした副作用の発生も報告されており、厚生労働省は承認の際、一定期間すべての投与患者を調査することを条件とした。
 日本皮膚科学会も使用指針と安全対策マニュアルを整備した。2種を使う医療機関は、副作用把握のための検査や迅速な対応ができるかについて、学会の審査を受ける必要がある。(共同通信 江頭建彦)(2010/4/20)