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2010.04.06

「受動喫煙-(3)」
サービス業の被害深刻 
産業医大の大和浩教授 

 迷惑なだけでなく、周囲の人の健康まで損ねてしまうたばこの煙。受動喫煙を防ぐための日本の対策は、諸外国に大きく後れを取っているのが現状だ。産業医大産業生態科学研究所 の大和浩教授に課題や展望を聞いた。
 
   ―2月に厚生労働省が受動喫煙対策に関する通知を出した。
 「まず公共施設や病院の全面禁煙化の広がりが期待されます。次に不特定多数が利用する『公共的』施設、つまりサービス産業を考えねばなりません。完全禁煙の飲食店や居酒屋は少数派です。喫煙者の利便性よりも、たばこの煙が充満する環境で一日中働くサービス業の従業員を、受動喫煙の被害から守らねばなりません」20100406onepoint.gif
 ―サービス業の受動喫煙の実態は。
 「私たちはファミリーレストランの禁煙席と喫煙席のテーブルの上、そして、その両方を行き来する従業員の胸元に小型の粉じん計を付けてもらい、受動喫煙の濃度を測定しました。禁煙席にも煙が広がっているのは予想通りでしたが、深刻なのが従業員個人の暴露です」
 「注文を聞いたり、テーブルにかがみ込んで接客したりする際に、灰皿のたばこから立ち上る煙や客が吐いた煙を直接浴びるため、禁煙席の平均的な数値より数倍高い濃度にさらされていることが分かりました。あるファミレスの調査では、世界保健機関(WHO)が健康影響がないレベルとする粉じん濃度の25倍(瞬間値)を超えることもありました」
 ―ほかの業種では。
 「ロビーや廊下が禁煙のホテルの、宴会場で働く仲居さんに粉じん計を付けてもらったこともあります。個室の客15人のうち6人が喫煙者で、仲居さんが個室に入ると粉じん濃度が急上昇し、廊下に出ると下がる現象が繰り返されました」
 「個人暴露の最大値は許容レベルの28倍でした。神奈川県受動喫煙防止条例ではホテルのロビーや廊下は全面禁煙ですが、個室宴会場は適用が除外されており、今後の課題です。カナダでは、受動喫煙で肺がんになったウエートレスが喫煙者を告発するコマーシャルが流され、飲食店の全面禁煙が広がりました。喫煙者は煙の中で長時間働く人をもっと思いやってほしい」
 ―今後の展望は。
 「日本は海外に比べ対策が大幅に遅れていますが、公共の場所の全面禁煙は止められない流れです。神奈川県では全面禁煙にする外食チェーンも出ました。条例制定の動きはほかの自治体にも広がり、対応する外食チェーンも増えると思います」
 「規制に反対する人たちは売り上げが落ちると主張しますが、米マサチューセッツ州では飲食店の全面禁煙後に客数が若干増え、納税額に変化はなかったとの報告があります。日本も早く『受動喫煙防止法』を制定すべきです」(共同通信 吉村敬介)(2010/4/6)