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2010.03.30

「受動喫煙-(2)」
"いわゆる分煙"効果なし 
産業医大の大和浩教授 

 迷惑なだけでなく、周囲の人の健康まで損ねてしまうたばこの煙。受動喫煙を防ぐための日本の対策は、諸外国に大きく後れを取っているのが現状だ。産業医大産業生態科学研究所 の大和浩教授に課題や展望を聞いた。
 
   ―建物内に喫煙室を残すような分煙で受動喫煙は防止できるか。
 「世界保健機関(WHO)は『喫煙室の設置や空気清浄機の使用では受動喫煙を防止できず、建物内を100%禁煙とする方法以外に手段はない』と勧告しています。企業や官公庁が建物内に喫煙室を設置していますが、煙が禁煙エリアに漏れ出すのは避けられず、こうした"いわゆる分煙"では受動喫煙を完全に防止することはできません」
 ―ほかに身近な例は。
 「新幹線では多くの人が閉ざされた空間で長時間を一緒に過ごします。東北新幹線や上越新幹線、九州新幹線などはすでに全面禁煙に踏み切りました。一方で東海道・山陽新幹線には喫煙車が残っていたり、喫煙室が設置されたりしています」
 ―喫煙車の問題は。20100330onepoint.gif
 「新幹線は車両をつなぐデッキ部分と客席のエアコンがつながっており、デッキに排気口と吸気口があります。このため喫煙車の両端のデッキは、ドアが閉じた状態でも客席のたばこの煙で汚染されます。仕切りがないため煙は隣の禁煙車のデッキまで拡散し、エアコンを通じて禁煙席を汚染します。私たちの測定では、禁煙車でも厚生労働省の喫煙室の基準を超える濃度になる場合があることを確認しました。これでは"受動喫煙車"と呼ぶべきです」
 ―喫煙室の問題は。
 「東海道・山陽新幹線の最新型車両、N700系は全席禁煙ですが、喫煙室が4カ所にあります。自動ドアで仕切られ、内部の気圧が低くなるように設計されていますが、実際に測定すると煙がデッキに大量に漏れていることが分かりました。ドアが閉じている時は煙の漏れはありませんが、喫煙者が出入りする際にドアが全開になって漏れ出すほか、喫煙者が肺に充満した煙を吐きながら出てくるためです」
 ―客席への影響は。
 「喫煙室に最も近い席では、汚染されたデッキと変わらない濃度の煙が検出されました。また、狭い場所でたばこを吸うと、髪や衣服に大量に付着した煙の粒子から、ベンゼンやホルムアルデヒドなどガス状の有害物質が長時間にわたって揮発します。こうした残留たばこ成分を周囲の人が吸い込むことを3次喫煙といいます」
 「建物内の喫煙室でも同じことが起きており、新たな被害として注意が必要です。煙が充満した場所での喫煙は、本人にも良くありません。安易な分煙は喫煙者と非喫煙者の健康をともに損ねます」(共同通信 吉村敬介)(2010/03/30)