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2010.02.16
<チーム医療>
多職種参加で回診 情報を共有、
すぐに対応 コミュニケーション実践
医師だけでないさまざまな職種が、各自の専門性を発揮しながら連携を図る「チーム医療」が広がりつつある。治療やケアが複雑化、高度化する中で、医師にすべてを任せるのではなく、情報を共有しながら多くのスタッフがかかわり、患者の安心につなげようとしている。
× × ×
1月下旬、広島大病院 の9階東病棟。午前8時半すぎ、乳がん患者の病室を9人の医療スタッフが回診し始めた。教授を先頭に、医師らが続く大学病院の回診のイメージとは様子が違う。病棟や外来の看護師、薬剤師、リハビリを担当する作業療法士も加わった週に1度の「チーム回診」だ。
▽誰のためか
「眠れました?」「焦らんで、ゆっくりしとったらいいよ」
3日前に乳房の摘出手術を受けた50代のAさんに、乳腺外科の村上茂・講師らが次々と話し掛ける。スタッフは回診前の打ち合わせで、対象者全員の容体や治療計画を把握している。
「誰が、誰のために、何のために回診をするのかを考えたらこうなった」と、チームをつくった村上さん。一緒に回ることで、患者が何を求め自分たちは何をするべきか、その場で意志を統一し、すぐに対応できるという。
Aさんも「いろんな方々が自分のことを気に留めて、理解してくれている安心感がある。この病気とはこれからも付き合っていかなくてはならないけれど、大丈夫だと思えてきます」。
▽日本でもできる
九州のがん専門病院に勤務していた10年ほど前、外来から入院患者の診療、手術と仕事が集中。十分な対応ができない自分に限界を感じ、チーム医療の必要性を認識したという村上さん。
母校の広島大に戻った翌年の2006年、チーム医療を構築し世界的に知られる米テキサス州のMDアンダーソンがんセンターに短期留学。医師や看護師、薬剤師に、それぞれ助手の役割をする専門職がつくなど、一人一人の負担を軽減しながら高度な医療サービスを提供する現場を目の当たりにした。
日本の同じ規模の専門病院と比べると、同がんセンターの医師や看護師の数は6~7倍、薬剤師は70倍、総収入も10倍以上。「スタッフの数や資金力はとてもまねできないが、職種を超えて互いに信頼し、意見を出し合うコミュニケーションの実践なら日本でもできる」。こう考え、帰国後にスタッフに声を掛けた。
▽ミーティング
こうして始まったのが月に1回の「ブレストチームミーティング」。入院患者のケアに直接かかわるメンバーに加え、腫瘍内科の医師や外来化学療法室のスタッフ、放射線技師らも参加。問題点や解決策を出し合う。続いて行う勉強会で専門知識も習得する。
「『この職種の人と話すのは初めて』というスタッフもいた。自らがかかわる医療についてオープンにものが言える意識が生まれ、医療の向上につながった」と、村上さん。08年にはチーム回診もスタートした。
チームでの取り組みについて、増岡夏美・看護師は「昼間は『大丈夫』と話していた人が夜になって不安を訴えることもある。入院患者さんとかかわる機会が一番多い者として、さまざまな場面で得た情報をスタッフにつなげられる」。
太刀掛咲子・薬剤師も「かつては出された薬を説明するだけだったが、今は治療方針を共有しているので、より適切に対応できる」と話す。副作用の心配などを患者から直接話してもらえるようになり、医師にも進言しやすくなったという。
▽「一緒に」を実感
2人目の子供の授乳中に乳房のしこりに気づき乳がんと診断され、1週間前に手術を受けた30代のBさん。胸の骨と筋肉を切ったため安静期間が通常より長く、リハビリの遅れを気にしている。
スタッフからこれを聞いた金山亜希・作業療法士は、手術翌日には自分が担当だとBさんに告げ、チーム回診では「来週から少しずつ動かしましょう」と説明した。
「この方とリハビリを頑張るんだと思うと安心できた。村上先生と金山さんが自分の前で話しているのを見ると、一緒にやってくれていると実感できます」と、Bさん。 村上さんは「桜が咲くころにはお子さんの抱っこもOKだよ」と声を掛けた。Bさんの笑顔に、メンバーの顔もほころんだ。(共同通信 江頭建彦)(2010/02/16)
× × ×
1月下旬、広島大病院 の9階東病棟。午前8時半すぎ、乳がん患者の病室を9人の医療スタッフが回診し始めた。教授を先頭に、医師らが続く大学病院の回診のイメージとは様子が違う。病棟や外来の看護師、薬剤師、リハビリを担当する作業療法士も加わった週に1度の「チーム回診」だ。
▽誰のためか
「眠れました?」「焦らんで、ゆっくりしとったらいいよ」
3日前に乳房の摘出手術を受けた50代のAさんに、乳腺外科の村上茂・講師らが次々と話し掛ける。スタッフは回診前の打ち合わせで、対象者全員の容体や治療計画を把握している。

「誰が、誰のために、何のために回診をするのかを考えたらこうなった」と、チームをつくった村上さん。一緒に回ることで、患者が何を求め自分たちは何をするべきか、その場で意志を統一し、すぐに対応できるという。
Aさんも「いろんな方々が自分のことを気に留めて、理解してくれている安心感がある。この病気とはこれからも付き合っていかなくてはならないけれど、大丈夫だと思えてきます」。
▽日本でもできる
九州のがん専門病院に勤務していた10年ほど前、外来から入院患者の診療、手術と仕事が集中。十分な対応ができない自分に限界を感じ、チーム医療の必要性を認識したという村上さん。
母校の広島大に戻った翌年の2006年、チーム医療を構築し世界的に知られる米テキサス州のMDアンダーソンがんセンターに短期留学。医師や看護師、薬剤師に、それぞれ助手の役割をする専門職がつくなど、一人一人の負担を軽減しながら高度な医療サービスを提供する現場を目の当たりにした。
日本の同じ規模の専門病院と比べると、同がんセンターの医師や看護師の数は6~7倍、薬剤師は70倍、総収入も10倍以上。「スタッフの数や資金力はとてもまねできないが、職種を超えて互いに信頼し、意見を出し合うコミュニケーションの実践なら日本でもできる」。こう考え、帰国後にスタッフに声を掛けた。
▽ミーティング
こうして始まったのが月に1回の「ブレストチームミーティング」。入院患者のケアに直接かかわるメンバーに加え、腫瘍内科の医師や外来化学療法室のスタッフ、放射線技師らも参加。問題点や解決策を出し合う。続いて行う勉強会で専門知識も習得する。
「『この職種の人と話すのは初めて』というスタッフもいた。自らがかかわる医療についてオープンにものが言える意識が生まれ、医療の向上につながった」と、村上さん。08年にはチーム回診もスタートした。
チームでの取り組みについて、増岡夏美・看護師は「昼間は『大丈夫』と話していた人が夜になって不安を訴えることもある。入院患者さんとかかわる機会が一番多い者として、さまざまな場面で得た情報をスタッフにつなげられる」。
太刀掛咲子・薬剤師も「かつては出された薬を説明するだけだったが、今は治療方針を共有しているので、より適切に対応できる」と話す。副作用の心配などを患者から直接話してもらえるようになり、医師にも進言しやすくなったという。

▽「一緒に」を実感
2人目の子供の授乳中に乳房のしこりに気づき乳がんと診断され、1週間前に手術を受けた30代のBさん。胸の骨と筋肉を切ったため安静期間が通常より長く、リハビリの遅れを気にしている。
スタッフからこれを聞いた金山亜希・作業療法士は、手術翌日には自分が担当だとBさんに告げ、チーム回診では「来週から少しずつ動かしましょう」と説明した。
「この方とリハビリを頑張るんだと思うと安心できた。村上先生と金山さんが自分の前で話しているのを見ると、一緒にやってくれていると実感できます」と、Bさん。 村上さんは「桜が咲くころにはお子さんの抱っこもOKだよ」と声を掛けた。Bさんの笑顔に、メンバーの顔もほころんだ。(共同通信 江頭建彦)(2010/02/16)


