今週のニュース
2010.02.09
膝関節症の骨切り術を改良
人工骨使い再生促す
回復までの時間短縮
中高年の女性を中心に患者は1千万人ともいわれる変形性膝関節症。O脚になり、ひざが痛むのが特徴で、進行すると手術が必要になる。近年は人工関節に置き換える方法が主流だが、以前から行われていた「骨切り術」で、人工骨を使い自分自身の骨の再生を促す改良型の新手法が開発された。課題だった回復までの期間短縮に成功し、広まりつつある。
▽人工関節は末期に
変形性膝関節症は、体重の増加や、閉経後に骨や軟骨が弱くなるなどの原因で、ひざの関節が変形する病気。多くの患者は変形の程度は小さく、減量や筋力トレーニングで対処できる初期の状態だが、日本整形外科学会 の推計では、進行して手術が必要になる人も年間4万人以上いるという。
現在、多くの病院で勧められるのが人工関節。手術後、支えなしで歩けるようになるまでの期間が2週間程度と短く、痛みもすっきりとれることが多いのが利点だ。
ただ、横浜市立大医学部 整形外科の斉藤知行教授や竹内良平准教授は「人工関節は本来、軟骨の下の骨まで欠けたような末期の患者向けだ」と指摘。「軟骨の欠損はあっても骨までは削れていない中期の患者に適用すると、問題のない骨や軟骨まで除去してしまい、不具合が起きたらもっと大きな人工関節を入れることになる。曲げられる角度も限られる」と注意を促す。
▽回復に課題
一方、中期の患者に向いているとされるのが骨切り術。竹内准教授によると、これまでの手術は、すねの骨のひざに近い部分を切り取って角度を調整し、O脚になった脚の形をややX脚にすることで、ひざの内側にかかりすぎていた体重を軟骨の障害が少ない外側に移す方法。人工関節手術よりも安価で、自分の関節が残るため正座や軽い運動もでき、ほぼ元の生活に戻れる利点がある。
ただ、手術後に支えなしで歩けるようになるまで、一般的に2カ月程度かかるのが大きな問題だった。特に高齢者では、長い間動かないと運動機能の低下や骨粗しょう症などの合併症を招くなどとして、ほとんど行われなくなっていたという。
▽人工関節並みに
この問題をクリアしたのが改良型の方法だ。脚をX脚に調整する発想は同じだが、骨を削るのではなく、切り込みを入れて適切な角度に開き、そこにリン酸やカルシウムを焼き固めてできた新開発の人工骨をくさびのように挟み込む。さらに骨を特殊なチタン製の板でしっかり固定することで、手術後1週間で歩行訓練が可能になるなど、回復までの期間が人工関節並みにまで短縮された。
人工骨には細かい穴が多数開いていて、ここに骨の細胞が入り込み2~3年かけて自分の骨が再生。人工骨自体は体に吸収されてなくなる。入院費以外の費用は、骨切り術では人工関節の約半分で済むという。
手術の体への負担は人工関節に比べてはるかに少なく、両ひざを同じ日に手術することも可能となった。チタン製の板はそのまま残しても問題ないが、多くの患者は後で取り外すことを希望するという。
改良型の方法は医師らが開く講習会などを通じて各地の医療機関に広がりつつある。竹内准教授は「患者の選択肢が増えたことが重要だ。自分の主治医に積極的に相談してみてほしい。人工関節だけでなく、症状に合ったいろいろな選択肢を提示し、説明できるのが良い病院だと思う」と話している。(共同通信 井口雄一郎)(2010/02/09)
*改良型骨切り術を実施している主な施設は、えにわ病院(北海道恵庭市)▽石橋総合病院(栃木県下野市)▽横浜市立大病院▽東海大病院(神奈川県伊勢原市)▽湘南第一病院(神奈川県藤沢市)▽富山市民病院▽福岡大病院▽浜の町病院(福岡市)
▽人工関節は末期に
変形性膝関節症は、体重の増加や、閉経後に骨や軟骨が弱くなるなどの原因で、ひざの関節が変形する病気。多くの患者は変形の程度は小さく、減量や筋力トレーニングで対処できる初期の状態だが、日本整形外科学会 の推計では、進行して手術が必要になる人も年間4万人以上いるという。

現在、多くの病院で勧められるのが人工関節。手術後、支えなしで歩けるようになるまでの期間が2週間程度と短く、痛みもすっきりとれることが多いのが利点だ。
ただ、横浜市立大医学部 整形外科の斉藤知行教授や竹内良平准教授は「人工関節は本来、軟骨の下の骨まで欠けたような末期の患者向けだ」と指摘。「軟骨の欠損はあっても骨までは削れていない中期の患者に適用すると、問題のない骨や軟骨まで除去してしまい、不具合が起きたらもっと大きな人工関節を入れることになる。曲げられる角度も限られる」と注意を促す。
▽回復に課題
一方、中期の患者に向いているとされるのが骨切り術。竹内准教授によると、これまでの手術は、すねの骨のひざに近い部分を切り取って角度を調整し、O脚になった脚の形をややX脚にすることで、ひざの内側にかかりすぎていた体重を軟骨の障害が少ない外側に移す方法。人工関節手術よりも安価で、自分の関節が残るため正座や軽い運動もでき、ほぼ元の生活に戻れる利点がある。
ただ、手術後に支えなしで歩けるようになるまで、一般的に2カ月程度かかるのが大きな問題だった。特に高齢者では、長い間動かないと運動機能の低下や骨粗しょう症などの合併症を招くなどとして、ほとんど行われなくなっていたという。
▽人工関節並みに

この問題をクリアしたのが改良型の方法だ。脚をX脚に調整する発想は同じだが、骨を削るのではなく、切り込みを入れて適切な角度に開き、そこにリン酸やカルシウムを焼き固めてできた新開発の人工骨をくさびのように挟み込む。さらに骨を特殊なチタン製の板でしっかり固定することで、手術後1週間で歩行訓練が可能になるなど、回復までの期間が人工関節並みにまで短縮された。
人工骨には細かい穴が多数開いていて、ここに骨の細胞が入り込み2~3年かけて自分の骨が再生。人工骨自体は体に吸収されてなくなる。入院費以外の費用は、骨切り術では人工関節の約半分で済むという。
手術の体への負担は人工関節に比べてはるかに少なく、両ひざを同じ日に手術することも可能となった。チタン製の板はそのまま残しても問題ないが、多くの患者は後で取り外すことを希望するという。
改良型の方法は医師らが開く講習会などを通じて各地の医療機関に広がりつつある。竹内准教授は「患者の選択肢が増えたことが重要だ。自分の主治医に積極的に相談してみてほしい。人工関節だけでなく、症状に合ったいろいろな選択肢を提示し、説明できるのが良い病院だと思う」と話している。(共同通信 井口雄一郎)(2010/02/09)
*改良型骨切り術を実施している主な施設は、えにわ病院(北海道恵庭市)▽石橋総合病院(栃木県下野市)▽横浜市立大病院▽東海大病院(神奈川県伊勢原市)▽湘南第一病院(神奈川県藤沢市)▽富山市民病院▽福岡大病院▽浜の町病院(福岡市)


