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2010.01.26

「元気の源」の病気 
伊藤院長
 「甲状腺の病気」―(1)

 女性を中心に患者は500万人ともいわれ、珍しい病気ではないが、症状がさまざまでほかの病気と間違われやすいのが甲状腺疾患だ。国内有数の専門医療機関、伊藤病院 (東京都渋谷区)の伊藤公一院長に聞いた。

 ―甲状腺の働きは。 「甲状腺は、首の前側の、のどぼとけの下にあるチョウが羽を広げたような形の臓器で、異常がなければ柔らかくて薄いため触れてもよく分かりません。最も重要な働きは、海藻などの食べ物に含まれるヨードを原料に、2種類の甲状腺ホルモンをつくることです」
 「このホルモンは新陳代謝を活発にして、さまざまな栄養素を十分活用されるようにする、いわば人間の元気の源です。細胞などの発育にも関係し、子どもの成長促進にも欠かせません」
 ―病気にはどんなタイプがあるか。
 「大きくは3種類。一つは甲状腺の機能が異常に高くなり、ホルモンの分泌が過剰になる『甲状腺機能亢進症』で、よく知られたバセドー病が大半です。これとは逆に、炎症が起きて機能が低下する病気もあり、代表的なものが『橋本病(慢性甲状腺炎)』です」
 「三つめは甲状腺の形の異常で、腫れて大きくなるものと、しこり、つまり腫瘍ができるものとがあります。腫瘍には良性と悪性(がん)とがありますが、がんで最も多い『乳頭がん』でも進行は非常に遅く、治りやすいのが特徴です」
 ―病気の頻度や男女差は。原因は。
 「有病率などのデータは少ないのですが、日本人の20人に1人は甲状腺に何らかの異常があるといわれ、バセドー病と橋本病、腫瘍で甲状腺疾患全体の9割を占めます。患者全体の9割は女性で、バセドー病は30~40代、橋本病は40~50代が中心です。ただ男性や高齢者でもみられる病気なので油断はできません」20100126onepoint.jpg
 「甲状腺の病気の多くは、自分自身の細胞やタンパク質を異物とみなして攻撃する抗体がつくられてしまう自己免疫疾患で、遺伝的な要因もある程度関係するとされていますが、基本的には誰にでも起こり得る病気です。診断や治療の技術は進歩しており、さまざまな症状からこの病気を疑うことが大切です」
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 いとう・こういち 1958年、東京都生まれ。北里大医学部卒。東京大医科学研究所、東京女子医大、米シカゴ大留学などを経て98年から伊藤病院院長。日本医大客員教授、筑波大非常勤講師などを兼務。(共同通信 江頭建彦)(2010/1/26)