からだ・こころナビ
2010.01.26
偽薬、説明せず使用も
痛みや不眠に、全国調査
患者の病気に対する薬としての効果はない砂糖やビタミン剤などは、新薬の効果を確認する試験で、偽薬(プラセボ)として対照群に投与される。だが日常の治療でも、暗示的な「プラセボ効果」での症状改善を期待して使われ、事前の説明がないケースもあるとする全国調査の結果がまとまった。
小松明・帝京大教授(生理学)らが2008年12月、全国の病床数300以上の病院を対象に内科系・外科系病棟の看護責任者計1910人に調査。408人(21%)から回答を得た。痛みや不眠などを訴える患者にプラセボを与えた経験があるのは88%。医師による説明は「なし」が53%、「(患者側の)同意なし」は66%だった。
プラセボの効果は「ある」が39%、「どちらともいえない」が56%、「ない」が6%。「倫理に反するか」との問いには、そう思うとの回答が46%だった。
一般の看護師への意識調査では「効くのであれば倫理には反しない」という声の一方、「薬の名前が分かるものを見せてくれと言われた」経験のある人や、「患者に事実が伏せられ葛藤(かっとう)を感じる」という人もいた。
小松教授は「現在はインフォームドコンセント(十分な説明と同意)が基本。患者に、この薬はプラセボとは言えないだろうが、使うこともあり得るという事前説明は必要ではないか」と話す。
この調査では、プラセボを使った患者の病名や状態は不明だが、使用の背景には、鎮痛薬や睡眠薬などの使いすぎへの警戒感があるとみられる。
ただ痛みに関し、専門医は一般論として「プラセボは使うべきではない」との見方を示す。
国立がんセンター中央病院 緩和医療科の的場元弘・医長によると、がんの痛みに対し、以前はモルヒネは少量しか使わず、患者が繰り返し痛みを訴えると「痛み止めの薬」と言ってプラセボが使われていた。だが世界保健機関(WHO)が1986年、モルヒネ使用を含む治療法を公表。的場医長は「この方法により80~90%で痛みを緩和できる。適切な薬の使い方が必要だ」と指摘する。
順天堂大 麻酔科学・ペインクリニック講座の井関雅子・先任准教授は「痛みに対してプラセボ効果があるのは事実。だが患者に断らないで使うと、信頼関係が損なわれるため治療が成り立たなくなる。痛みの機序は複雑で、薬などでもなかなか治らない人もいる。その状況を説明し、心のサポートをする方が重要だ」。
小松明・帝京大教授(生理学)らが2008年12月、全国の病床数300以上の病院を対象に内科系・外科系病棟の看護責任者計1910人に調査。408人(21%)から回答を得た。痛みや不眠などを訴える患者にプラセボを与えた経験があるのは88%。医師による説明は「なし」が53%、「(患者側の)同意なし」は66%だった。

プラセボの効果は「ある」が39%、「どちらともいえない」が56%、「ない」が6%。「倫理に反するか」との問いには、そう思うとの回答が46%だった。
一般の看護師への意識調査では「効くのであれば倫理には反しない」という声の一方、「薬の名前が分かるものを見せてくれと言われた」経験のある人や、「患者に事実が伏せられ葛藤(かっとう)を感じる」という人もいた。
小松教授は「現在はインフォームドコンセント(十分な説明と同意)が基本。患者に、この薬はプラセボとは言えないだろうが、使うこともあり得るという事前説明は必要ではないか」と話す。
この調査では、プラセボを使った患者の病名や状態は不明だが、使用の背景には、鎮痛薬や睡眠薬などの使いすぎへの警戒感があるとみられる。
ただ痛みに関し、専門医は一般論として「プラセボは使うべきではない」との見方を示す。
国立がんセンター中央病院 緩和医療科の的場元弘・医長によると、がんの痛みに対し、以前はモルヒネは少量しか使わず、患者が繰り返し痛みを訴えると「痛み止めの薬」と言ってプラセボが使われていた。だが世界保健機関(WHO)が1986年、モルヒネ使用を含む治療法を公表。的場医長は「この方法により80~90%で痛みを緩和できる。適切な薬の使い方が必要だ」と指摘する。
順天堂大 麻酔科学・ペインクリニック講座の井関雅子・先任准教授は「痛みに対してプラセボ効果があるのは事実。だが患者に断らないで使うと、信頼関係が損なわれるため治療が成り立たなくなる。痛みの機序は複雑で、薬などでもなかなか治らない人もいる。その状況を説明し、心のサポートをする方が重要だ」。


