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医療新世紀
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2010.01.19

<進まぬはしか対策> 
低迷する中高生予防接種率 
鈍い厚労省の動き 
飛躍的に向上の自治体も 

 高熱を伴い、全身に発疹ができる感染症のはしか(麻疹) 。海外では流行をゼロに抑えることに成功した国がある中、日本では患者の報告が後を絶たず、厚生労働省は中高生へのワクチン接種に乗り出している。学校での集団接種で接種率が飛躍的に伸びた自治体もあるが、全国レベルでは低迷。2012年までに国内での流行をゼロにする計画の達成は困難との声も聞こえる。

 2007年春。10代、20代を中心にはしかが流行し、全国の大学で休講や学校閉鎖が相次いだ。若者には過去にワクチンを接種していないか、接種しても免疫が低下した人が多く、大きな流行につながった。これをきっかけに日本のはしか対策が動きだした。
 ▽排除計画
 政府は、12年までの5年間で国内の流行をゼロに抑えることを目指した「麻疹排除計画」を08年にスタートさせた。「排除」とは、海外からの輸入症例を除き、はしかの患者が1年間に人口100万人当たり1人未満の状態を指す。20100119honki.gif
 対策の大きな柱はワクチン接種。はしかのワクチンは強い免疫効果が期待でき、2回接種すればほぼ発症を避けられるとされている。
 接種は06年以降、1歳時と小学校入学前の計2回行われているが、この措置が始まる前は、十分な免疫がない子が多いとみられることから、08年4月から5年間の対策として、13歳(中学1年)と18歳(高校3年)への追加接種が始まった。この年齢に達した人への接種を5年間実施すれば若年世代をカバーでき、問題解決につながるというわけだ。
 接種は予防接種法上の定期接種と位置付けられ、費用も公費負担。だが、初年度の接種率の全国平均は、13歳が85・1%。18歳は77・3%と、排除実現に不可欠として設定された目標の95%からは大きくかけ離れた。特に大都市圏の接種率の低さが顕著で「排除は無理だ」との声も相次いだ。
 ▽集団接種
 茨城県の東南端、利根川河口部に位置する神栖市では、市内にある三つの高校で09年度から集団接種を導入した。08年度までは、ほかの自治体と同様、接種対象者が医療機関に行き、個人ごとにワクチン接種を受けていた。
 「当初の接種率は50%にもいかず、各クラスを回って保健指導しても75%程度にしか上がらなかった」と、市内にある茨城県立波崎高校の養護教諭、長谷川純子さん。
 危機感を持った長谷川さんは神栖市に高校での集団接種を提案し、市もすぐに応じた。波崎高校では春に行われる校内での内科検診を利用し、市が手配した医師が3年生へのワクチン接種を行った。
 3校に通う同市の3年生の接種率は、08年度は74・4%と全国平均以下だったが、集団接種を導入した09年度は夏までの段階で93・8%に。神栖市全体での18歳の接種率も9月末には82・8%に上昇した。
 神栖市のほかにも学校での集団接種を実施している自治体では、接種率はいずれも高い傾向にある。20100119honki.jpg
 ▽全国まとめ公表を
 自治体のこうした取り組みの一方で、旗振り役の厚生労働省の動きは鈍い。追加接種が始まった08年度は接種率の全国まとめを年度の途中で定期的に公表し、接種率の低い自治体に対策を促していた。だが、対応は09年度になり一転。9カ月を経過しても全国まとめを一度も公表していない。
 厚労省は「新型インフルエンザなどへの対応に追われたため」(担当者)としている。
 はしかが原因で起きる亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の患者団体「SSPE青空の会」(事務局・横浜市)の畑秀二・副会長は「インフルエンザばかりに関心が集まっているが、はしかはワクチン接種でなくすことができる。接種率の傾向を定期的に出すことは重要で、啓発にもつながる」と話している。(共同通信 山本峰次)(2010/01/19)