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医療新世紀
からだ・こころナビ
2010.01.05

「パニック値」活用広がる 
検査結果、迅速に患者へ 

 血液などの検体の検査は、機器やシステムが進歩して多くの項目で結果が出るまでの作業が自動化され、体制を整えた医療機関では数時間以内に結果を患者に伝えられるようになった。「パニック値」といわれる極端な検査値異常を、医療の向上につなげる取り組みも広がっている。
 約1700人の外来患者と、約1150のベッドに入院する患者に、毎日約3千件の検体検査をしている帝京大病院 (東京)。血液検査は赤血球、白血球などの数を調べる「血算」や凝固機能の検査、肝臓、腎臓といった内臓の異常を中心に調べる生化学検査などさまざま。同病院では細菌の培養や免疫系など一部を除き、1時間程度で結果を出すことを目指している。20100105navi.jpg
 迅速検査の導入で、慢性疾患などの再診患者は病院に着くとまず採血や採尿を行い、結果が出てから医師の診察を受ける。初診でも診察後に行う検査の大半の結果がその日に判明するため、再度の診察後、より的確な治療を始められるようになった。
 「早期治療による重症化防止だけでなく、結果を聞くためだけに再度来院してもらうケースが大幅に減り、患者の生活の質(QOL)向上や、医療経済への効果もある」と、副院長の宮沢幸久教授(臨床病理学)。
 パニック値は「生命が危ぶまれるほど危険な状態を示唆する値」で、同病院では検出されれば臨床検査技師が医師に直接、電話などで連絡。考えられる疾患や追加すべき検査を伝える。数値は文献や医師の意見を基に決めた。
 ことし9月、発熱外来を受診した30代の男性。血液の迅速検査で、血小板の数がパニック値の下限の半分近くにまで低下していた。技師も顕微鏡検査で白血球の異常を確認。骨髄の検査が行われ、急性骨髄性白血病と診断。すぐに治療態勢が組まれた。20100105navi2.jpg
 下肢の静脈瘤で血管外科を受診したものの、生化学検査で総タンパクの値がパニック値の上限を大きく超え、多発性骨髄腫と診断された患者の例もあるという。
 同病院で2008年3月から8月にパニック値が検出されたのは、血算の項目を中心に検体数全体の0・16%。ただ、パニック値は採血が適切でなかった場合などにも見られることがある。宮沢さんは「検出後の対応、チェック体制などに課題もあるが、価値のある検査が適切な治療に結び付くよう支援していきたい」と話している。