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医療新世紀
からだ・こころナビ
2009.12.08

「周産期の死」広がるケア 
抱っこや写真で思い出作り 

 死産や、重い病気で生まれてすぐに亡くなる赤ちゃん。周産期の死に直面する親が子供に愛着を持って、悲しみを受け止められるよう支援する取り組みが医療現場で広がりつつある。抱っこや写真、手形、入浴...。赤ちゃんとの思い出作りなどグリーフ(悲嘆)ケアの実践例が、11月上旬に京都市内で開かれたセミナーで紹介された。
 「心に響くケアで、両親の顔は変わる」。大阪市立住吉市民病院 で、死産した両親のケアに取り組む助産師、大蔵珠己さんは話す。
 1年半前の赴任当初、紙シートに包まれ冷蔵庫に入れられていた死産の赤ちゃんを、お風呂に入れてきれいにし、特別に小さく作った産着を着せた。感情を見せない仮面のような顔をしていたお母さんは、穏やかな表情になり、赤ちゃんを抱っこして病院を後にした。
 「生きて生まれた赤ちゃんと同じように、人として接することが大切」と大蔵さん。金属製のトレーではなく小さなベッドに寝かせ、両親と一緒に過ごしてもらう。「6センチのちっちゃなわが子が、いとしくて...」。そんな声も寄せられている。20091208navi.jpg
 小さく生まれ、重い病気がある赤ちゃんが入院する新生児集中治療室(NICU)。横浜市大センター病院 が策定した「亡くなっていく赤ちゃんと家族へのケアガイドライン」は、どんなに病状が厳しくても、スタッフは両親にまず「おめでとう」と言うことから始めようとうたっている。
 「みとり」はできるだけ個室で。親に抱っこしてもらい、一緒に写真を撮ったり手形、足形を残したり。母乳をなめさせてあげる人もいる。
 「つらい体験にふたをせず、どこかにしまって時々思い出せるように」と関和男医師。亡くなった赤ちゃんと触れ合う両親が、悲しみの中、ふと笑顔になる瞬間がある。
 セミナーには、わが子を亡くした親でつくる「小さないのち」代表、坂下裕子さんも参加。同じ経験を持つ親同士が語り合う場の必要性を説いた。「感情を言葉にすることで、気持ちが少し軽くなることもある」
 自身もそうした活動に取り組むが、負担が大きく、心が折れそうになった時期があった。わが子を亡くした悲しみが消えることはない。「病院が語り合いの場を運営するなど、サポートがもっと広がってほしい」。坂下さんはそう訴えた。