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2009.10.27
自然な歩き方でリハビリ
筑波大など訓練装置開発
回復横ばい症例も改善
健康なときの自然な歩き方に近い足の動きを機械制御でつくり出し、歩行訓練をしてもらう新しいリハビリテーション装置を、筑波大 や筑波記念病院 (茨城県つくば市)のチームが開発した。
脳卒中などで残ったまひを効果的に改善するのが目的で、外を歩くような感覚を楽しめる映像の設備も。機能回復の程度が横ばいになっていた人を含め成果が出ている。
▽幅や角度を再現
装置を用いるリハビリは、ベルトの上を歩くウオーキングマシン型のものや、足や手、腰をバンドなどで固定して訓練する方法が主流。
だが、体のバランスが崩れたり、左右の足を同じような状態で前に出しにくかったりするため不自然な歩き方になり、まひがない足に負担が掛かり過ぎる難点もあった。
筑波大の矢野博明・准教授(システム工学)らが開発した装置は、サンダルのような部分(パッド)に足を片方ずつ乗せ、それぞれ固定するのが特徴。パッドはモーターで前後や上下に動き、パソコンで歩幅や足を上げる高さ、速度などを設定する。かかとを上げるタイミングや角度などは自然に歩く状態を再現し、それに連動して足も動く仕組みだ。
パッドには圧力センサーが付き、前に出した足に重みがかかり体重がしっかり移動していれば、もう一方の足が踏み出せるようにできるほか、階段を上る動作も可能。まひの状態に合わせて訓練でき、歩いているときの映像があれば、その軌跡を入力して健康時の歩行も疑似体験できる。
脳卒中後のリハビリで利用した女性は「昔はこんな風に歩いていたんだ...」と話したという。
▽単調さ軽減
装置には広角スクリーンが備えられ、利用者の自宅近くの風景や観光地など実際に撮影した映像を映す。風景は歩くのに合わせて動くため、現地を歩いているような感覚を味わえ、リハビリにありがちな単調さも軽減するという。
「通常の訓練は1回1、2分で、20メートルぐらいが多いが、この装置だと長い距離を続けられる。20分で900メートル歩いた人もいる」と、筑波記念病院リハビリテーション部副主任の田中直樹・理学療法士。
開発チームは、脳出血や脳梗塞で体の片側がまひした49~76歳の男女12人に、この装置を使った約20分の訓練を週3回、約1カ月間実施してもらった。全員が発症から7カ月~13年たち、訓練による機能回復が頭打ちになっていたが、11人で平均の歩行速度が向上。歩幅の平均値が伸びるなどの改善も見られた。
▽重点的に刺激
チームはさらに、近赤外光で血流量を計測し、脳のどの部分が活発に働いているかを調べる「光トポグラフィー」で有効性を検証した。従来の装置を使った人は脳が全体的に活性化していたが、今回の装置では、足の運動をつかさどる部位が重点的に刺激されて活性化しており、効率的な訓練につながっていた。
矢野准教授は「装置は、脊髄を損傷した人のリハビリや、筋力が衰えた高齢者の訓練などにも使え、従来より高度な機能の回復が期待できる。社会復帰や家族の負担軽減にも役立つ」と話す。これまでに事故は起きていないが、安全対策と低価格化にめどをつけ、2年後の実用化を目指す。将来は一般家庭で使えるようにしたいという。(共同通信 谷本敏之)(2009/10/27)
脳卒中などで残ったまひを効果的に改善するのが目的で、外を歩くような感覚を楽しめる映像の設備も。機能回復の程度が横ばいになっていた人を含め成果が出ている。

▽幅や角度を再現
装置を用いるリハビリは、ベルトの上を歩くウオーキングマシン型のものや、足や手、腰をバンドなどで固定して訓練する方法が主流。
だが、体のバランスが崩れたり、左右の足を同じような状態で前に出しにくかったりするため不自然な歩き方になり、まひがない足に負担が掛かり過ぎる難点もあった。
筑波大の矢野博明・准教授(システム工学)らが開発した装置は、サンダルのような部分(パッド)に足を片方ずつ乗せ、それぞれ固定するのが特徴。パッドはモーターで前後や上下に動き、パソコンで歩幅や足を上げる高さ、速度などを設定する。かかとを上げるタイミングや角度などは自然に歩く状態を再現し、それに連動して足も動く仕組みだ。
パッドには圧力センサーが付き、前に出した足に重みがかかり体重がしっかり移動していれば、もう一方の足が踏み出せるようにできるほか、階段を上る動作も可能。まひの状態に合わせて訓練でき、歩いているときの映像があれば、その軌跡を入力して健康時の歩行も疑似体験できる。
脳卒中後のリハビリで利用した女性は「昔はこんな風に歩いていたんだ...」と話したという。
▽単調さ軽減
装置には広角スクリーンが備えられ、利用者の自宅近くの風景や観光地など実際に撮影した映像を映す。風景は歩くのに合わせて動くため、現地を歩いているような感覚を味わえ、リハビリにありがちな単調さも軽減するという。
「通常の訓練は1回1、2分で、20メートルぐらいが多いが、この装置だと長い距離を続けられる。20分で900メートル歩いた人もいる」と、筑波記念病院リハビリテーション部副主任の田中直樹・理学療法士。
開発チームは、脳出血や脳梗塞で体の片側がまひした49~76歳の男女12人に、この装置を使った約20分の訓練を週3回、約1カ月間実施してもらった。全員が発症から7カ月~13年たち、訓練による機能回復が頭打ちになっていたが、11人で平均の歩行速度が向上。歩幅の平均値が伸びるなどの改善も見られた。
▽重点的に刺激
チームはさらに、近赤外光で血流量を計測し、脳のどの部分が活発に働いているかを調べる「光トポグラフィー」で有効性を検証した。従来の装置を使った人は脳が全体的に活性化していたが、今回の装置では、足の運動をつかさどる部位が重点的に刺激されて活性化しており、効率的な訓練につながっていた。
矢野准教授は「装置は、脊髄を損傷した人のリハビリや、筋力が衰えた高齢者の訓練などにも使え、従来より高度な機能の回復が期待できる。社会復帰や家族の負担軽減にも役立つ」と話す。これまでに事故は起きていないが、安全対策と低価格化にめどをつけ、2年後の実用化を目指す。将来は一般家庭で使えるようにしたいという。(共同通信 谷本敏之)(2009/10/27)


