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2009.10.20

血栓減らし焼灼術を安全に 
カテーテルから水出し冷却 
不整脈治療で新技術

 不整脈を根治するため、血管に入れた細い管の先端から高周波電流を流し、熱で心臓の筋肉の一部を焼いて壊死させる「カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)」。開胸手術に比べ体への負担が少ない半面、温度が高くなると血栓ができやすいリスクなどもあったが、カテーテルから水を出して患部を冷却し、この欠点を補う治療が行われるようになった。091020honki2.jpg
 ▽頻脈性が対象
 心臓は通常、成人で1分間に60~80回程度の収縮を繰り返し、肺や全身に血液を送り出す。このリズムをつくり出すのが、右心房にある「洞結節」という部分から発せられる電気刺激だ。
 しかし、刺激が発生しなくなったり、異なる部分で異常な刺激が発生したりすると、正常に収縮することができなくなる。これが不整脈で、収縮が1分間に50回以下になる徐脈や、逆に100回を超えることを繰り返す頻脈、ほとんどは問題にならない期外収縮に分けられる。
 アブレーションの主な対象は、頻脈性の不整脈。洞結節から興奮が始まらず、心房の筋肉がけいれんしたように不規則に細かく震え、血液を心室に送り出せなくなる「心房細動」、これと似ているが、心房の中を電気信号が円形に回り続ける「心房粗動」、原因が心室にある「心室頻拍」などだ。
 ▽脳塞栓症
 治療は、金属チップの電極が先端に付いたカテーテルを、太ももの付け根の血管から挿入。心臓までもっていき、異常の原因になっている心筋の部分や、電気信号が回り続けている"回路"の途中に高周波を流し、50度以上にして壊死させる。091020honki3.jpg
 約20年前に実用化されたこの治療に詳しい、米オクラホマ大の中川博教授は「それまでは抗不整脈薬を飲み続けたり、開胸手術で患部を取り除いたりする治療が中心だった。アブレーションで根治すれば再発率も低く、薬も飲まなくて済むようになる」と意義を強調する。日本でも既に2万人以上が治療を受けたと推定されている。
 最大の問題は心筋の表面や電極の過熱で、周囲の血液のタンパクが変性、凝固して生じる血栓。これが心臓から脳の血管に飛ぶと、脳塞栓症になる場合もある。
 「特に、焼灼の目標が心筋の深いところにあるような場合には、高周波の出力を上げなくてはならず、電極の接触部分が70~80度になってリスクが高まる」と中川さん。これを回避するために開発されたのが、イリゲーション(かん流)カテーテルという器具だ。
 ▽自由度増す
 外部のポンプとつないだカテーテルの先端から、生理食塩水が流れ出る仕組みで、治療方法は従来と同じだが、電極を内側から冷やすと同時に、電極が接触する心筋表面の温度も下げる。エネルギーは心筋の内側まで伝わるので、焼灼の効果は変わらないとされ、血栓のリスク低下とともに、高周波の出力を上げられるので治療の自由度も増すという。091020honki.jpg
 治療は、カテーテルで心臓内部から記録した心電図のデータと、体外からのエックス線CT(コンピューター断層撮影装置)検査の結果を解析し、焼灼部位を正確に特定しながら行う。
 今年7月に製品が発売された日本では、今のところ心房粗動のみが対象だが、中川さんは「例えば、心筋梗塞で心筋の一部がまだらに壊死して起きる心室頻拍なども、より高いエネルギーでの焼灼が必要になることがある」と、米国の実情を踏まえ適応拡大に期待している。(共同通信 江頭建彦)(2009/10/20)

ジョンソン・エンド・ジョンソンの不整脈に関するサイト