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医療新世紀
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2009.09.22

患者の声を取り入れて 
医学教科書やがんのガイド 
医療側と協力、作成相次ぐ

 専門性の高い医師ら医療側と、診てもらう側の患者の間には、深い"溝"があると言われてきたが、両者が協力し、医学の教科書や、がん患者のためのガイド(試作版)を相次いで作成した。関係が変わるきっかけにもなるのでは、と期待されている。
 ▽日常生活知って
 教科書は、患者団体などでつくる「ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会 」と、医師などで構成するプロジェクトチームがまとめた「患者と作る医学の教科書」。 B5判280ページで、日総研出版から2800円で発売された。 090922honki2.jpg
 自分の病気への不安やさまざまな疑問を抱えながら、多忙な医師に十分な質問ができない患者が多い中、「患者の声を聞いて、診察室以外の姿を知ってほしい」という患者側の思いと、「声を聞きたい」という医療者のニーズが一致し、企画が実現した。
 原稿は、認知症や気管支ぜんそく、肝臓病、乳がんなど25の疾患の患者団体が主に執筆。プロジェクトのメンバーの医師らが不足部分を加筆するなどした。
 疾患ごとに(1)病気の概念(2)症状(3)検査の内容(4)治療の内容―など医療の情報だけでなく、日常生活上の支障など患者が抱える問題、医師や看護師らに望むことといった項目も設けた。
 ▽「画期的」
 例えば、患者が急増している認知症については、「患者の目の前で『認知症です』といきなり告げないでほしい」「患者と別の部屋で、家族からも日常生活などを聞いてほしい」など、医療者側へのお願いが挙げられている。
 編集に携わった群馬大病院 医療情報部の酒巻哲夫教授は「医療を受ける者と提供する者、医学教育に携わる者とが同じテーブルについて教科書を作るのは画期的だ。相互理解が少し深まり、溝を希望で埋められるのではないか」と期待。
 精神障害がある人の支援活動をしている社団法人「やどかりの里 」常務理事の増田一世さんも「生活の中に疾患がある。疾患だけを切り取らずに読んでほしい」と強調する。
 一方、国立がんセンターがん対策情報センターが、患者や家族に必要な情報をまとめた「患者必携 がんになったら手にとるガイド」は、厚生労働省のがん対策推進協議会委員が作成を提案。すべての患者・家族が手にすることを目指すことが、国のがん対策推進基本計画に盛り込まれた。 090922honki1.jpg
 試作版の編集には患者や家族がかかわり、手記も掲載。A4判254ページで、同情報センターのホームページ ではガイドのほか、書き込み式の「わたしの療養手帳」と「地域の療養情報」も公開している。
 ▽スムーズな対話に
 内容は、病気の基礎知識や治療方法、療養生活のヒントなど。「(治療の影響で)味が感じられないときは酢の物、果物などの酸味を利用し、温度は人肌程度にすると食べやすい」「食べ物にむせることが多いときは、上体を45~60度程度に起こし、あごを引いた姿勢で」など具体的に書かれている。
 患者らの意見を聞いた上で完成版をつくり、早ければ来年度にも医療機関を通じて新規患者に配布を始めたい考え。とりまとめに当たった同情報センターの渡辺清高医師は「患者さんが病気の不安や痛みを抱え込まず、ガイドを参考に医師とスムーズに対話できるようになれば」と話す。
 完成版はガイドのほか、書き込み式の「わたしの療養手帳」と「地域の療養情報」で構成される見通しだ。(共同通信 田中貴子)(2009/09/22)