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2009.09.01
全身チェックと塗布指導を
ステロイド外用剤の使用
アトピー性皮膚炎治療
アトピー性皮膚炎の標準的な治療は、患部の重症度に合ったステロイド外用剤の使い分け。トレーニングを受けた医師なら難しくないとされるが、症状が思うように改善せず、患者が治療をあきらめたり、医師や薬に不満を持ったりする場合も少なくない。長年診療に携わる専門医は、全身のチェックと、薬の量や塗り方をきちんと指導する重要性を強調する。
▽触診
金沢大病院 皮膚科で1994年から5千人近いアトピー患者を主治医としてフォローしてきた竹原和彦教授。診察時には必ず全身の皮膚を観察、触診し薬の処方など治療方針を決める。触診の重要性はなかなか理解されないという。「赤みの強いところや、じくじくしたびらんが目立つのに比べ、触れるとごりごりする『浸潤(しんじゅん)』の部分は重症なのに見落とされがちだ。びらんが乾燥すると改善したと錯覚しやすいが、浸潤が強くなっている場合がある」
かさかさして弱い赤みがあり、粉をふいたような状態の部分も、乾燥肌だからと何もしない人が多いが、軽症で治療の必要があると説明。その部位に自分で触れて確認してもらう。
▽自分の腕に
生後3カ月ごろに出始めた症状が、上半身や足に広がり小児科や皮膚科を転々。かゆくて夜中も起きてしまう日が続いたという8歳の女児。母親は「(今までの医療機関では)かゆい部分だけで、全身を診てくれることはなかった。長期間薬を塗ってもざらざらして、良くなっているのかずっと疑問だった」。竹原さんは、初診の患者や家族には、外来終了後に別の部屋に集まってもらい、1時間ほどかけてさらに説明を行う。最も重視するのが、5段階あるステロイド外用剤の強さや種類の解説と、塗り方の指導だ。
チューブから2~3ミリ押し出して患部の数カ所に少量ずつ乗せ、指先で擦り込まずに少し光るくらいに広げる。この量で大人の握りこぶしほどの範囲。竹原さんは自分の腕で実演し、参加者に触れてもらい理解させる。
「薄く薄くと思っていたが、塗るべきところにはしっかり塗ることが実感できた」と、2歳男児の母親。多くの参加者が「こんなに塗るんですね」と口をそろえる。
内服と外用を混同するなど誤解が多いステロイドの副作用については「正常な皮膚に予防的に塗り続けると、皮膚が薄くなることなどに限られる」と説明。患者側から疑問などを自由に話してもらい不安を解消する。
ステロイドは重症度で使い分けるため、初診時は何種類も処方されることが多い。グループでの説明後、竹原さんは再び患者ごとに面接。どの部位にどの薬を塗るかを絵にかいて渡し、かゆみが軽くなっても次回の診察まで塗り方を変えないなど注意点を話す。
▽普通の治療
患者は全国から訪れるが、初診時の指示が守られているかや治療効果を確かめるため、竹原さんは遠方からでも1週間後に再度受診してもらう。大部分は症状が改善して受診間隔があいていき、子供や学生なら春、夏、冬の学校の休み中に受診すれば済むようになる。
初診から約1カ月半。長年の全身症状が改善した男性(31)は「今までは症状が悪くなっても常に薬は1種類で、かゆい時に塗って効かずに落ち込むことの繰り返しだった。体、顔、頭皮と別々の薬を使い分けるのは確かに大変だったが、かゆみのつらさを思えば続けられた」と喜ぶ。
竹原さんは「アトピーに夢の治療法があるわけではない。当たり前の治療をいかにきっちりやるかが重要で、次第に患者は自立し通院や薬を塗る負担も減る」と話す。(共同通信 江頭建彦)(2009/09/01)


