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医療新世紀
からだ・こころナビ
2009.07.21

最薄のナノばんそうこう
早大など、体内で自然分解

 厚さ75ナノメートル(ナノは10億分の1)と、市販のばんそうこうの10万分の1程度しかない世界最薄のシート状被覆材を開発したと、早稲田大理工学術院 の武岡真司教授、藤枝俊宣研究助手と防衛医大などのグループが発表した。
090721navi.jpg 既に医療用などに使われている材料が原料で、体内で自然に分解。動物実験では肺の傷口の修復に成功した。3年後をめどに人への応用を目指すとしている。
 武岡教授によると、臓器などが損傷した場合、通常は血液成分からつくったフィブリンのりとコラーゲンのシートを組み合わせた被覆材や、ステープラーなどの縫合器が使われる。接着や縫合の効果が高い半面、周囲の組織との癒着などが問題になるケースもあったという。
 グループは、カニの甲羅からつくったキトサンと、コンブからつくったぬめり成分のアルギン酸ナトリウムという2種類の多糖類を分子レベルで交互に重ね、透明で軟らかいシートをつくった。
 厚みは重ねる回数によって自由に変えられるが、200ナノメートルより薄いと柔軟性がより高まり、覆いたい部分への接着力が増すことを実験で確認。最終的に二つの物質をそれぞれ約20層積み上げ、75ナノメートルという極薄のシートにした。
090721navikao.jpg 肺を覆う胸膜に直径6ミリの穴がある犬を使い、2センチ四方のこのシートを張り付けたところ、3時間後にはフィブリンのりを使ったシートと同等の強度が得られ、呼吸やくしゃみで生じる圧力では空気の漏れも起きなかった。
 従来のシートでは1週間後に周囲の組織との癒着が起きたが、ナノシートでは癒着はなく、傷の表面付近に血管ができるなど治癒も進んでいた。1カ月後には傷口も見えなくなったという。
 グループは今後、人での臨床研究に向け安全性の確認などを行う。シートは臓器のほか、糸による縫合と組み合わせれば皮膚に対しても使え、傷あとが目立ちにくいなどの効果が期待できるという。
 武岡教授は「シートは極薄で柔軟性があるため、内視鏡手術などと組み合わせて傷口の修復に応用できる可能性がある。シートに薬を含ませて腹膜炎などの治療に使えないかも検討したい」と話している。(2009/07/21)