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2009.06.24

食物アレルギー検査に指針
「経口負荷試験」で学会
方法や実施態勢まとめる

  国内では乳児の5~10%が持つとされる食物アレルギー。原因を確かめるには、疑われる食品を少しずつ食べさせる「経口負荷試験」が最も信頼性が高い。ただ、やり方を間違うとショック状態になることもあり危険を伴う。日本小児アレルギー学会は、試験方法や実施態勢についてまとめた医師向けのガイドライン(指針)を出版、試験の標準化を目指している。
 
▽多様な症状
 子どもの食物アレルギーの中心は卵、乳製品、小麦だ。0歳児がピークで、成長とともに食べられるようになり、学童期には有病率は1~2%まで低下する。大人の食物アレルギーは魚介類、エビ、そばが多い。
 アレルギー反応は、湿疹やのどのかゆみなど比較的軽度な症状から、呼吸困難や血圧低下などの全身症状がみられる「アナフィラキシーショック」まで多様だ。
 指針作成に当たった藤田保健衛生大(愛知県)の宇理須厚雄教授(小児免疫アレルギー学)は「小麦や大豆が駄目でも、みそやしょうゆなら大丈夫という例もある。加熱や加工で食べられることもあれば、一定量までは問題ないということもある」と話す。
 何をどれだけ食べると発症するかだけでなく、アレルギーが治ったという診断にも経口負荷試験が欠かせないという。
 
▽グレーゾーン
 食物アレルギーの検査には、原因食品のエキスを用いて皮膚の反応を調べる方法や、血液中の抗体量を調べる方法もある。経口負荷試験に比べ精度は劣るが危険が少なく、広く用いられている。
 「血液検査で抗体の数値が明らかに大きいか小さい場合は、アレルギーの有無を判断できる。問題なのは、はっきりしないグレーゾーン。一定の危険を伴う経口負荷試験の対象となるのは、このケース」と、宇理須教授。病歴を把握する問診や、皮膚や血液の検査を経てから行うのが順序だという。
 指針では、1年以内に全身症状など重い急性反応が出ている場合や、ピーナツ、そば、甲殻類などでアレルギーが出た場合は原則的に経口負荷試験を避けるとしている。ぜんそくやアトピー性皮膚炎を併発している場合も要注意だ。
 
▽万全の準備を
 アレルギーの専門医を対象に、あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)の医師らが実施した調査では、経口負荷試験で血圧低下や意識障害を伴うアナフィラキシーショックを経験したことがあるとの回答が、2割近くに上った。
 「昨年までに試験の健康保険適用が認められ、実施施設は増加が予想されている」と、宇理須教授。だが、調査では「試験のニーズに十分応えられていない」との回答が6割を占めており、治療法や試験の実施態勢などを標準化することは急務といえる。
 多品目の食物アレルギーの子どもなどで、原因を安易に除去していった結果、低栄養状態になることもある。民間療法に依存して症状が悪化する例も珍しくないという。
 宇理須教授は「熟練した専門医がいる設備の整った施設で、時間をかけて試験を行うのが望ましいが、医師1人の診療所で行わざる得ないこともあるだろう。今回のガイドラインに沿って万全の準備をしてほしい」と呼び掛けている。(共同通信 鎮目宰司) (2009/06/23)