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2009.02.17
重症アトピーに新内服薬
免疫抑制剤シクロスポリン
「ステロイド拒否」にも
従来の治療で十分な効果がなく、強い炎症を伴う湿疹が体表面積の3割以上に及ぶ「最重症」のアトピー性皮膚炎患者に対し、免疫抑制剤シクロスポリン(製品名ネオーラル)の内服療法が承認された。
アトピー性皮膚炎の治療では、基本薬のステロイド外用剤が適切に使用されなかったり、さまざまな理由で患者が使用自体を拒否したりして重症化するケースがある。シクロスポリンはステロイドと作用の仕組みが異なり、治療の幅が広がると専門医は期待している。
▽標準治療
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が主症状。根治療法はないが、炎症を抑えるステロイド外用剤は世界的な標準治療薬で、日本でも五段階の強さを湿疹の部位ごとの状態に応じ細かく使い分けることが、日本皮膚科学会の治療指針などに記載されている。
NTT東日本関東病院(東京都品川区)の五十嵐敦之皮膚科部長によると、重症化しても適切なステロイド外用剤の選択が基本であることに変わりはないが、まれに症状が全身に広がり、効果が弱い場合がある。
(1)標準治療を否定する、いわゆる「ステロイド・バッシング」(2)症状に対して十分な薬効のステロイドが選択されず症状が改善しない(3)医師の診察や説明が不十分--などが原因で患者がステロイドを拒否したり、「効かない」と思い込んだりするケースもあるという。
「こうした際、治療に積極的に協力し続けてもらうためには、患者の目に見える形で、早い段階に効果を上げることも重要だ」と、五十嵐さんは新薬の役割を解説する。
▽かゆみも抑制
シクロスポリンは免疫をつかさどるTリンパ球に作用して異常な反応を抑え、かゆみに関与するヒスタミンの分泌も抑制すると考えられている。臓器移植の拒絶反応を抑える薬として使用が始まり、その後ベーチェット病や乾癬などの効能が追加された。60カ国以上でアトピー性皮膚炎にも使われている。
製剤はカプセルと内用液。国内で約90人を対象に行われた臨床試験では、1日2回の内服を8週間続けた患者で、偽薬を投与した患者に比べ重症度や湿疹の範囲が2週間目から改善。かゆみの程度も抑えられた。「発売後の処方例でも、かゆみが止まり抗ヒスタミン剤が不要になった人が多い」と、五十嵐さん。
アトピー性皮膚炎は慢性の病気のため、いったんよくなった症状が再び悪化する場合もあるが、臨床試験では、シクロスポリンの治療を繰り返しても、効果が落ちたり副作用が増えたりすることはなかったという。
副作用は毛包炎(おでき)や胃腸障害などが見られた。腎機能の悪化や高血圧にも注意が必要で、1カ月に1度をめどに血中濃度を測定するのが望ましいとされる。
▽小児で試験なし
重症のアトピー性皮膚炎ではステロイドを内服する治療もあるが、外用剤とは異なり、継続すると顔のむくみや骨粗しょう症、糖尿病などの副作用の出る恐れがある。
五十嵐さんは「若い世代などでは、ステロイドの内服継続はせいぜい1週間。短期間の内服で効果が期待できない場合は、シクロスポリンを選ぶことになるだろう」と話している。
シクロスポリンは小児には臨床試験が実施されておらず「治療上の有用性が危険性を上回ると判断されない限り、投与しない」とされている。ネオーラル以外にも、カプセルや注射液、内用液の「サンディミュン」があるが、アトピー性皮膚炎には承認されていない。 (2009/02/17)
アトピー性皮膚炎の治療では、基本薬のステロイド外用剤が適切に使用されなかったり、さまざまな理由で患者が使用自体を拒否したりして重症化するケースがある。シクロスポリンはステロイドと作用の仕組みが異なり、治療の幅が広がると専門医は期待している。
▽標準治療
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が主症状。根治療法はないが、炎症を抑えるステロイド外用剤は世界的な標準治療薬で、日本でも五段階の強さを湿疹の部位ごとの状態に応じ細かく使い分けることが、日本皮膚科学会の治療指針などに記載されている。NTT東日本関東病院(東京都品川区)の五十嵐敦之皮膚科部長によると、重症化しても適切なステロイド外用剤の選択が基本であることに変わりはないが、まれに症状が全身に広がり、効果が弱い場合がある。
(1)標準治療を否定する、いわゆる「ステロイド・バッシング」(2)症状に対して十分な薬効のステロイドが選択されず症状が改善しない(3)医師の診察や説明が不十分--などが原因で患者がステロイドを拒否したり、「効かない」と思い込んだりするケースもあるという。
「こうした際、治療に積極的に協力し続けてもらうためには、患者の目に見える形で、早い段階に効果を上げることも重要だ」と、五十嵐さんは新薬の役割を解説する。
▽かゆみも抑制
シクロスポリンは免疫をつかさどるTリンパ球に作用して異常な反応を抑え、かゆみに関与するヒスタミンの分泌も抑制すると考えられている。臓器移植の拒絶反応を抑える薬として使用が始まり、その後ベーチェット病や乾癬などの効能が追加された。60カ国以上でアトピー性皮膚炎にも使われている。製剤はカプセルと内用液。国内で約90人を対象に行われた臨床試験では、1日2回の内服を8週間続けた患者で、偽薬を投与した患者に比べ重症度や湿疹の範囲が2週間目から改善。かゆみの程度も抑えられた。「発売後の処方例でも、かゆみが止まり抗ヒスタミン剤が不要になった人が多い」と、五十嵐さん。
アトピー性皮膚炎は慢性の病気のため、いったんよくなった症状が再び悪化する場合もあるが、臨床試験では、シクロスポリンの治療を繰り返しても、効果が落ちたり副作用が増えたりすることはなかったという。
副作用は毛包炎(おでき)や胃腸障害などが見られた。腎機能の悪化や高血圧にも注意が必要で、1カ月に1度をめどに血中濃度を測定するのが望ましいとされる。
▽小児で試験なし
重症のアトピー性皮膚炎ではステロイドを内服する治療もあるが、外用剤とは異なり、継続すると顔のむくみや骨粗しょう症、糖尿病などの副作用の出る恐れがある。
五十嵐さんは「若い世代などでは、ステロイドの内服継続はせいぜい1週間。短期間の内服で効果が期待できない場合は、シクロスポリンを選ぶことになるだろう」と話している。
シクロスポリンは小児には臨床試験が実施されておらず「治療上の有用性が危険性を上回ると判断されない限り、投与しない」とされている。ネオーラル以外にも、カプセルや注射液、内用液の「サンディミュン」があるが、アトピー性皮膚炎には承認されていない。 (2009/02/17)


