47NEWS >  47特集 >  ママパパ繁盛記 >  子育てさがし >  産後ケアに取り組む吉岡マコさん

子育てさがし 共同通信がママ・パパ・家族をつづった子育て物語です。

産後ケアに取り組む吉岡マコさん

すべての産後女性にケアを 心も体も健やかに美しく

47honbun-yosioka.jpg
  マドレボニータの吉岡マコさん

 産後の女性の心と体をケアしようと、バランスボールを使った有酸素運動や自己の内面と向き合う「シェアリング」を取り入れた専門プログラムを考案、実践するNPO法人「Madre Bonita(マドレボニータ)」代表の吉岡マコさん(38)=東京都杉並区=。「母となったすべての女性が健康な状態で子育てをスタートできるよう、産後ケア文化を全国に根づかせたい」と話している。

 ▽産後のケアがない?!
 産後のつらさを身をもって経験したのは1998年3月。大学在学中にヨガやダンスセラピーと出会って身体論に関心を持ち、出産時に在籍していた大学院では運動生理学を専攻。妊娠中もヨガや運動を欠かさず、出産への備えは万全―のはずだった。
 「出産すれば身軽になると思っていたので、愕然としました。立ち上がるのもつらい産褥期を過ぎると、今度は授乳や長時間の抱っこによる肩凝りや腰痛。体がつらいと精神的にも前向きになれないことも実感しました」

 産後の母親のためのケアがあるはず―。行政や民間のサービスを探したが、あるのは妊婦と乳児向けばかり。新生児訪問で訪れた保健師に相談すると「産後はそんなもの」と言われた。
 「ちまたには産後のダイエット効果をうたった補正下着やサプリメントの情報があふれていますが、産後に必要なのはダイエットではなくリハビリ。適切なサポートがどこにもないことに憤りすら感じました」

47honbun2-yosioka.jpg
 産後ケアの教室で、バランスボールを使ったエクセサイズに取り組む参加者たち=2月、東京都武蔵野市

 ▽体も心もケアを
 そんな時に出会ったのが、スポーツトレーナーの間で普及し始めていたバランスボールだった。
 「子どもを抱いたまま座って弾んでみると泣きやむので、最初はあやすために使っていました。でも、やっていると、ばりばりだった体がほぐれるんです。座った姿勢なので、体に負担をかけず、効率よく筋力、持久力が回復できる。子どもを床の上に寝かせていても母と子の目線が近いので安心できる。これだ、と思いました」

 悩んでいる女性はほかにもいるはず―。効果的な運動法を研究し、98年9月、自宅近くの小さなスタジオで教室を開くと、初回から8人の定員がいっぱいになった。参加者の声や外部研修で得た知識をもとに改良を重ね、1回120分、全4回で完了する現在のプログラムが完成。ユニークなのが、運動の後、参加者が車座になって話をする「シェアリング」の時間だ。
 「はじめは運動とストレッチだけでしたが、終わった後も参加者がすぐに帰らず、何か話したそうにしているんです。産後は赤ちゃんと向き合うばかりなので、大人同士で話をする機会が必要なのだと感じました」

 産後の“ママトーク”は子どもの話題に偏りがちだが、ここで話すのは、「自分のこと」。テーマは「仕事」「人生」「パートナーとの関係」の中から一つ選んでもらう。
 「この3つは、どれも、出産によって大きく変わってしまうものですが、慣れない育児に追われていると、じっくり考える暇もありません。でも、産後という人生の節目だからこそ、変化に翻弄されるばかりでなく『自分が本当にどうしたいのか』を考えることが必要です。このシェアリングをきっかけに、妊娠で中断していた資格取得に取り組み始めた人や、壊れかけていた夫婦関係を修復できたという人も少なくありません。自分の言葉で語ることで、自分の内面と向き合い、頭の中で悶々と考えていた時には見えなかったものが見えてきます」

 1人でも多くの女性にこのプログラムを届けようと、インストラクターの養成に取り組み、07年にはNPO法人を設立。法人名はスペイン語で「美しい母」の意味だ。
 「表面的な美ではなく、よいことにもツライことにも向き合い、清濁合わせ飲んだ美しさを追及したい。真に美しい母が増えれば世界はもっとよくなるはず

 現在、教室は全国9都道府県32カ所で開講。ひとり親や多胎、未熟児の母などの受講を支援する「マドレ基金」も創設し、寄付を募っている。



吉岡マコ(よしおか・まこ)さん の略歴

 1972年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学院で運動生理学を学ぶ。98年3月に男児を出産し、同9月、自ら考案したプログラムによる「産後のボディケア&フィットネス教室」を開講。07年にNPO法人「Madre Bonita」を設立。産後の女性の実態を調査した「産後白書」や、機関誌「マドレジャーナル」を発行するなど、産後ケアについての研究や、一般への啓蒙にも力を注いでいる。今年1月には、DVD「健康になる産後エクササイズ『美しい母』になるためのセルフケア」が発売。中学生の母として、PTAや地域活動にも積極的に取り組む。


前へ 子育てさがしTOPへ
赤ちゃん

この記事の感想をお寄せください。
あて先は共同通信社デジタル編集部 kids@kyodonews.jpまで。
いただいた感想は紹介させていただく場合があります。