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絵本うた作家の西村直人さん

「わらべごころ」伝えたい 絵本や児童詩で作曲

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        西村直人さん

 ジャズやポップスのミュージシャンとして活躍していた西村直人さん(46)=東京都調布市=は、3児の子育てをきっかけに、絵本や児童詩を基に作曲する「絵本うた作家」に転身。今年4月には、絵本うたや遊びうたの魅力を伝えるNPO法人を設立し、自らの創作意欲をかきたてる原動力にもなった「わらべごころ」を、多くの人に伝えたいと考えている。

 ▽わらべごころに触れて
 中西圭三さんや永井真理子さんら人気アーティストのバックで演奏するキーボーディストとして活躍していた13年前、壊れて弦が1本外れたまま自宅の部屋の隅に転がっていたおもちゃのウクレレを手に取ったのが、「わらべごころ」のスイッチが入るきっかけになった。
 「仕事は順調でしたが、どこかで、自分の音楽じゃないと感じていました。そんな時、なにげなく手に取ったウクレレを弾いてみると、やさしい音がして、曲が生まれた。その曲が、当時、2歳の娘が飼っていたカタツムリを題材に妻が書いた“つぶちゃん”という詩にぴったり合ったんです。子どもたちと生活する中で、自分の内側から出てきた音楽が心地良く、これをきっかけに猛烈に曲を書くようになりました」

 3人の子どもとの日常のやりとりや、お気に入りの絵本、詩を題材に、あふれるようにメロディーが浮かび、年に200~300曲ペースで作曲するようになった。やがて、書きためた曲を携え、「ウクレレわらべうた」として児童館などでライブ活動を始め、そこで出会った絵本の読み聞かせをする父親たちのグループ「パパ’S絵本プロジェクト」の活動に合流。メンバーの安藤哲也さんらが中心となって2006年に立ち上げた、父親の育児参加を応援するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」にも参加し、子育てを通じて感性が解き放たれた自らの経験を伝えるようになった。
 「子どもは自分の感性に制限を設けず、扉が全開の状態でいるので、こちらも扉を開かずにいられなくなる。僕はこれを、わらべごころと呼んでいます。子育てをしている人は誰しも、このわらべごころに触れることで、物をつくり出す力、クリエイティビティーが活性化されているはずです。その変化を楽しんでほしい。僕の場合はたまたま音楽があって気づくことができましたが、気づかないままでは、もったいないです」

 ▽大人も楽しめるうたを
 ファザーリング・ジャパンのイベントで必ず歌うのが「おふろばで」。当時6歳だった「あっくん」こと、長男の直晃さんとの入浴時の会話から生まれた歌だ。

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 ライブで、子どもたちと一緒に歌う西村さん=10月中旬、東京都調布市

  「ねえパパ、パパの一番嬉しかった日って、いつ?」
  「んー、そうだな、いろいろあったけど、
   あっくんが、生まれた日」
  「そうなんだ。
   僕もね、自分が生まれた日が一番嬉しかった」

 「『自分が生まれた日が一番嬉しかった』という息子の言葉に感動して、すぐに曲にしました。歌うたびに、子どもたちが生まれてきたことに感謝する気持ちが蘇る、大事な歌になった。息子の反抗期に悩んでいた時も、この歌に癒やされました」

 今年4月には、NPO法人「えほんうた・あそびうた」を設立。絵本うたの普及や、古くから人々の生活の中に息づいてきたわらべうた、遊びうたの研究、伝承を目指す。
 「かつてのわらべうたは、地域の中で、大人も子どもも一緒に楽しむものでしたが、今は子どもの歌は子どもだけのものになってしまっている。子どもを持って初めて、童謡の歌詞をまったく思い出せないことに気づく親も多いはずです。新しく生まれる子どもの歌も、アニメの主題歌など、テレビ主体の歌が多いですが、子育てや保育の現場で生まれている歌を、もっと世の中に広めて、世代を超えて共有したい」

 反抗期もとっくに乗り越えた“あっくん”は現在、20歳の大学生。好きな音楽に打ち込み、両親に気づかいもできる、優しい青年に成長した。



西村直人(にしむら・なおと)さんの略歴

 1964年福岡県生まれ。大学卒業後、2年間、一般企業に勤めた後、プロのキーボーディストとして活躍。保育士の妻との間に90年に長男、94年に長女が誕生。96年に次男が誕生したころから、子どものうたの活動を始め、2004年から「パパ’S絵本プロジェクト」に参加。10年、NPO法人「えほんうた・あそびうた」を設立した。児童詩を多く残した詩人のみずかみかずよさん(故人)は義母にあたり、その詩に作曲した作品も多数ある。


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